胸にしこり…ステージ1の乳がん「男性もかかること知って」経験者の思い
10月は「乳がん月間」。女性の9人に1人が乳がんになると言われていますが、去年、歌手のブラザー・コーンさんが、乳がんを公表したように、男性も1000人に1人が乳がんにかかる現状があります。
胸にしこりが…「たいしたことない」と思っていたら
「斜めに背負うバッグのストラップが胸に当たって、ちょっと触るとしこりがあるなって。何か変だな、何があるのかなってすごく不安がありました」 熊本市に住む会社員の佐藤さん。3年前、乳がんを患いました。 「たいしたことない」と思っていましたが、しこりがだんだん大きくなり、不安になって病院を受診したといいます。 医師から告げられたのは「ステージ1の乳がん」。乳がんは、女性の病気だと思っていた佐藤さんは驚きました。 「エコーとかマンモグラフィーとかやったら、これは乳がんだっていう話になりましたね。テレビとかであるのは女性ばっかりだったので、男性もなるのかって感じですね」
乳がん患者の1%は男性 発見のきっかけは
乳がんは一般的に女性に多い病気ですが、患者全体の約1%が男性です。 熊本大学病院の山本豊教授(乳腺・内分泌外科)は「女性は、乳がん検診で発見される方が4割ぐらい、自覚症状で来られる方が6割、そのうちの9割がしこりです。男性の場合、ほとんどがしこりを自覚して、左右差が出てきて盛り上がってきたとかで来られるケースが一番多い」と話します。 女性は40代から70代を中心に、幅広い年齢で罹患する乳がん。男性の場合は、年齢が上がるにつれて増え、50歳以降、特に60代70代が多くなっています。日本では年間700人の男性が乳がんに罹患していると言われています。
早期発見で治る確率は高くなる
61歳で乳がんと診断され、すぐに摘出手術をした佐藤さん。 「乳首にちょっとかかるぐらいだったと思います。サイズは23mm、しっかりしたしこりですよね」 佐藤さんは普通の生活を送りながら、半年に一度、病院での診察や検査を続けています。 熊本大学病院の山本豊教授は「例えば、しこりの大きさが2cm以下、リンパ節転移がないステージ1という方であれば、現在も90%以上の人が治癒というか、再発しない状況になります。ステージ2でも8割を超えていますので、できるだけ小さいうちに見つけられた方が治る確率は高くなる」と話します。早期発見ができれば、性別に関係なく治る可能性のある病気です。 乳がんを経験した佐藤さんは「男性でも乳がんになる可能性があるんだよっていうことと、もう1つは違和感やしこりがあったときは、なるべく病院に行った方がいいですよっていうのは言いたい」と話します。 女性の9人に1人、男性の1000人に1人がかかるといわれる乳がん。入浴時に、しこりがないかセルフチェックをする。胸を鏡に映して、えくぼやへこみがある、乳頭の向きが変わった、また乳頭から赤や黒の分泌物がないかチェックするなど、普段から自分の身体を知るということも大切です。