非ハイブリッドの「欧州最速」仕様 ポルシェ・カイエン GTSへ試乗 コレぞ運転を楽しめる大型SUV!
非ハイブリッドのカイエンで欧州最速仕様
ポルシェ・カイエンのGTSで悩ましい点を挙げるなら、現ラインナップの高性能側に位置していても、オプション満載の上級グレードに受け止められがちなことかもしれない。能力を知るほど、ちょっと惜しい事実だ。 【写真】非ハイブリッドの「欧州最速」仕様 ポルシェ・カイエン GTS 運転を楽しめる大型SUVたち (172枚) これまで頂点に君臨していたターボGTは、排気ガス規制の強化に伴い欧州での販売は終了。結果としてGTSは、非ハイブリッドのカイエンの中で、欧州最速仕様に位置づけられている。 ターボ E-ハイブリッドが事実上の最強だが、電動化技術を搭載することで車重は400kgほど増えている。従来的な運転体験を求める富裕層にとって、より軽く魅力的なパッケージングにある。 実際のところ、プラグイン・ハイブリッドの真価を活かすには、こまめに充電するという手間がある。システム総合で740psの最高出力を誇っていても、公道で実際に展開できる場面は限られる。 カイエン GTSの最高出力は500psで、最大トルクは67.2kg-m。ターボ E-ハイブリッドに並ぶと、少し物足りない数字に見えるかもしれない。しかし、ドイツのアウトバーンを頻繁に走る機会がある人を除いて、まったく遅くは感じられないだろう。 ポルシェは、欧州でのGTSの地盤を固めるため、カイエン S比で25ps、従来のGTS比で40psも、4.0L V8エンジンの最高出力を引き上げている。常用域といえる中回転以下での中間加速は、清々しいほど鋭い。
フィードバック豊かなステアリング
ポルシェのツッフェンハウゼン工場で組み立てられるこのユニットは、低回転域からトルクフル。レスポンスも素晴らしく、高回転域まで颯爽と吹け上がる。放たれるサウンドも、V8エンジンらしさ満点。高性能なカイエンへ抱く期待に応えてくれる。 GTSで得られるのは、この動力性能だけではない。PASMと略される、車高が10mm落ちるアダプティブ・エアサスペンションと、PTVプラスという名のトルクベクタリング機能も標準装備する。 フロントアクスルは、ターボGTと共通。そのため、フロントタイヤのネガティブキャンバーは通常より0.5度強い。横方向のグリップ力が高まり、旋回時のステアリング・レスポンスも引き上げられている。 さらに、ステアリングラックとスタビリティ・コントロールは専用チューニング。PDCCと略されるアクティブ・アンチロールバーと、オプションで追加できる後輪操舵システムも同様だ。いずれも、高速道路を疾走することを前提に仕立てられている。 後輪操舵システムとリアデフ用の、フルード・クーラーも備わる。相当にアグレッシブに運転しても、コンポーネントがオーバーヒートする心配はない。 連続するコーナーを少し走れば、フィードバック豊かなステアリングを理解できるはず。ステアリングホイールを握る指先へ、同クラスのSUVと比較して、多くの情報が鮮明に伝わってくる。