羽生防衛の王座戦も盛況 ニコ生の意外な人気コンテンツ「将棋中継」
「縁台将棋」のイメージ
生中継は単に盤面や対局者の表情を映すだけではなく、ゲストのプロ棋士が「ニコ生」専任の解説者となり、大きな将棋盤で一手一手の説明や次の手の予想を解説します。さらに視聴者が書き込むコメントも見ながら解説するため、リアルタイムで見ている人と解説者が交流するのが特徴。最近の棋界の話題や各対局者の人柄紹介などくだけた話題も出ます。10月17日に開幕した第26期竜王戦第1局(渡辺明竜王対森内俊之名人)では対局者が食べていたおやつが生中継の解説者にも差し入れられ、おやつの解説までするユニークぶりでした。 意外な人気ぶりについてドワンゴは「特にタイトル戦は進行がゆるやかで長時間にもおよび、棋士が一手指すまでに数分かかることが多いのですが、その間にコメント機能を使って次の手の予想を書き込むなどユーザー同士が交流できる点は ニコニコ生放送と相性が良いみたいです。 羽生三冠がかつての縁台将棋の現代版ですね、と評されましたが その通りだと思います」と話しています。縁台将棋は昭和30~40年代に夏の夕涼みを兼ねて道端や空き地に縁台を出して将棋を指した風景のこと。ビールを手に野次馬がワイワイ指摘するのが当たり前でした。インターネットを通じて来場者がコメントでつっこみを入れている「ニコ生」の構図と重なります。
息づく米長永世棋聖の精神
日本将棋連盟が生放送に踏み切ったのは、昨年12月に亡くなった米長邦雄・永世棋聖が連盟会長当時、「インターネットこそ切り拓くべき分野」と積極的に取り組んだことにあります。現在の谷川浩司会長(十七世名人資格者)体制でもこの精神を受け継いでいます。ちなみに中村六段は米長前会長の弟子であることも何かの因縁を感じさせます。 将棋連盟は「生中継を通じて将棋をスポーツ中継のように見て楽しむファンが増えているようだ。こうしたニーズを大事にしたい」と話しています。前回プロが負け越した電王戦も、第三回を来年3月から4月にかけて実施することが決定。将棋連盟は「ランク上位のプロを送り込む」としていて、今後も将棋の生中継は「ニコ生」のキラーコンテンツになりそうです。