兵庫県知事パワハラなどの疑惑、51年ぶりの百条委設置へ…「告発は中傷」県内部調査で発表も
兵庫県の斎藤元彦知事がパワハラなどの疑惑を内部告発された問題で、県議会(定数86)は13日、真相を解明するため、地方自治法100条に基づく調査特別委員会(百条委員会)の設置議案を賛成多数で可決した。県議会で百条委が設置されるのは51年ぶり。14日に初会合が開かれる。 斎藤知事を巡る疑惑は、県西播磨県民局長だった男性職員(60)が3月12日、一部県議や報道機関に配布した文書で指摘した。▽机をたたいて激怒するなど職員にパワハラを行った▽副知事らが県の補助金カットをほのめかし、商工会議所などに知事の政治資金パーティー券を大量購入させた――など7件が記されていた。 斎藤知事は3月27日の記者会見で疑惑を否定。県は5月7日、「(告発は誹謗(ひぼう)中傷にあたる」とした内部調査の結果を発表し、男性職員を停職3か月の懲戒処分とした。 しかし、内部調査に協力した弁護士が、告発文で知事のパーティー券購入に関与したと指摘された団体の顧問弁護士だったことが判明。斎藤知事は、県議会全会派の要請に応じて第三者機関による再調査を行うとしたが、県議会では「百条委でなければ解明できない」との意見が大勢となった。 斎藤知事は本会議後、記者団に対し「議会としても調査すべきだという判断で、大変重く受け止めている。私自身しっかり対応することで説明責任を果たし、出てきた課題をしっかり改善していく」と述べた。 百条委は関係者の出頭や証言を命じる強い調査権限を持ち、虚偽証言などには禁錮や罰金が科される。兵庫県議会では、1973年にポリ塩化ビフェニール(PCB)の汚染状況と対策を調べるために設置されて以来となる。 【画像】百条委員会設置議案を巡る兵庫県議会各会派の賛否
知事選見据え、自民主導
百条委の設置は、来年夏の知事選を見据え、斎藤知事への反発を強める最大会派の自民党県議団(36人)が主導した。 自民は立憲民主党議員らでつくる「ひょうご県民連合」(9人)と百条委の設置議案を共同提案し、記名投票の結果、共産党県議団(2人)と無所属を含む計50人が賛成した。自民県議団の戸井田祐輔副幹事長は本会議で、「県政に対する信頼が揺らいでいる。議会が独自に真相究明することが必要だ」などと提案理由を説明した 自民は2021年の前回知事選で、無所属で立候補した斎藤知事を維新とともに推薦したが、多くの県議が対立候補の支援に回り、県議団が分裂した。昨年4月の県議選後は合流し、斎藤知事を支持することでまとまっていた。 しかし、斎藤知事が昨年8月、日本維新の会共同代表の吉村洋文・大阪府知事にならい、兵庫県立大の授業料無償化などの独自策を打ち出すと、「事前に説明がなかった」などと不満が噴出。さらにパワハラなどの疑惑が明らかになり、斎藤知事への不信感が高まった。百条委の設置議案の採決では、参加した35人中34人が賛成した。 自民県議団幹部は知事選について、「疑惑が強まる斎藤知事を支援することはできない。別の候補の擁立を模索することになるだろう」と語った。 一方、維新の会県議団(21人)と公明党県議団(13人)は、県が既に第三者機関で調査する方針を打ち出していることから反対した。