グループ分裂直前の作品にもかかわらず傑作となったCCRの『ペンデュラム』
OKMusicで好評連載中の『これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!』のアーカイブス。今週はクリーデンス・クリアウォーター・リバイバル(以下、CCR)のを紹介する。たった4~5年の活動であったが、CCRはアメリカのロックファンに大きなインパクトを与えた。その衝撃は2019年の今でも続いているのではないだろうか。少なくとも彼らを生んだアメリカではそうだと僕は思う。特にジョン・フォガティのソングライティングは天才的で、アメリカポピュラー音楽のスタンダードとも言える名曲をいくつも送り出している。中でも「雨を見たかい(原題:Have You Ever Seen The Rain)」はアメリカはもちろん日本でもビッグヒットとなり、中年以上の洋楽ファンは今でもカラオケレパートリーの上位に上がっているはず。その「雨を見たかい」を収録しているのが、本作だ。彼らにとって6作目となるこのアルバムは、彼らの代表作であるばかりか、ブルース、カントリー、ロカビリー、R&Bなどに影響を受けながらも独自の感性で再構築、CCRならではのルーツロックを提示している。収められた10曲はどれも珠玉のナンバーで、このアルバムが「雨を見たかい」だけじゃないことがよく分かる傑作である。 ※本稿は2019年に掲載
60年代後半のサンフランシスコ音楽事情
彼らが“クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル”という奇妙な名前でデビューしたのは、1968年のサンフランシスコ。この頃のサンフランシスコと言えば、ベトナム戦争反対、公民権運動、マリファナ、そしてヒッピーとフラワージェネレーションなどが全盛の時代である。ロックではグレイトフル・デッド、ジェファーソン・エアプレイン、クイックシルバー・メッセンジャーサービス、サンタナ、モビー・グレープ、ジャニス・ジョプリンらに大きな注目が集まっていた。ロックと麻薬は密接に関連し、ライトショーを用いた3時間を超す長尺のライヴやフェスが盛んに行なわれていた。