鈴木さん(福島県郡山市出身)、芥川賞候補 喜多方ゆかり乗代さんも 中山義秀文学賞の木下さんは直木賞
第172回芥川、直木賞(日本文学振興会主催)の候補作が12日付で発表された。福島県郡山市出身の鈴木結生(ゆうい)さん(23)=福岡市在住=の「ゲーテはすべてを言った」が芥川賞にノミネートされた。鈴木さんの作品が同賞にノミネートされるのは初めて。 ノミネート作は9月発売の季刊小説誌「小説トリッパー秋季号」(朝日新聞出版)に掲載されたもの。ドイツの文豪ゲーテを研究する学者・博把統一(ひろば・とういち)が自分の知らないゲーテの名言と出合い、本人の言葉かどうか探し求める物語。鈴木さんは福島民報社に「初めて書いた小説は、故郷である福島・郡山の記憶を保存するためのものだった。私の書くものは全て、あの一冊の続き」とコメントを寄せた。 鈴木さんは大成小5年まで郡山市で過ごした。西南学院大(福岡市)卒。1月に「人にはどれほどの本がいるか」で第10回林芙美子文学賞佳作を受賞した。 福島県関係ではこの他、芥川賞に父親が喜多方市出身の乗代雄介さん(38)=東京都在住=、直木賞に第26回中山義秀文学賞を受賞した木下昌輝さん(50)=大阪府在住=がノミネートされた。
選考会は来年1月15日、東京・築地の料亭「新喜楽」で開かれる。 候補作は次の通り。(敬称略) ◇芥川賞▽安堂ホセ「DTOPIA(デートピア)」(「文芸」秋号)▽鈴木結生「ゲーテはすべてを言った」(「小説トリッパー」秋季号)▽竹中優子「ダンス」(「新潮」11月号)▽永方佑樹「字滑り」(「文学界」10月号)▽乗代雄介「二十四五」(「群像」12月号) ◇直木賞▽朝倉かすみ「よむよむかたる」(文芸春秋)▽伊与原新「藍を継ぐ海」(新潮社)▽荻堂顕「飽くなき地景」(KADOKAWA)▽木下昌輝「秘色(ひそく)の契り」(徳間書店)▽月村了衛「虚の伽藍(がらん)」(新潮社)