「TSMC」関連取引、社数2年で1割増 地元「九州」は微増 取引企業は関東地方に集中
「TSMC」日本工場進出に関わる取引先調査(2024年)
半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)が日本初の工場を熊本県に開所し、国内の半導体サプライチェーンが活発化している。TSMCのほか、JASMなど同社の日本法人(グループ)、TSMCと関連の深いソニー半導体グループ関連企業と取引を行う企業は、全国で471社判明した。2年前の調査時点(2021年11月:427社)に比べて44社・10.3%増加した。 このうち、取引先別ではTSMCグループを取引先とする企業が74社、ソニー半導体と取引を行う企業が412社だった。TSMC、ソニー半導体企業ともに取引する企業も15社判明した。TSMC向けの取引社数は伸び悩んだものの、同社熊本工場に隣接し、スマートフォンなどに使われる画像センサーを生産するソニー半導体向け取引が大幅に伸長した。 業種別では「製造業」が最も多く152社で、2年前(144社)から8社・5.6%増加したほか、「卸売業」(140社)も11社・8.5%増加した。最も増加したのは「サービス業」(131社)で、2年前(109社)に比べて22社・20.2%の大幅増加となった。サービス業では「受託開発ソフトウェア」や「労働者派遣」「機械設計業」で多く、取引内容では大規模集積回路(LSI)の設計・開発業務の受託、技術セールスパーソンをはじめとした人材派遣などの内容が特に目立った。
九州は関東に次ぐ2番目の多さ
取引企業を地域別にみると、最も多いのは「関東」(229社)で、「九州」は全国で2番目に多い153社となった。「東北」など他地域ではいずれも50社未満にとどまり、関東と九州の2地域における企業が取引に参画していた。ただ、2年前と比較した社数の増加率は、「九州」が6社・4.1%の増加にとどまり、東京を中心とした「関東」(194社→229社)の35社・18.0%増に比べると低水準にとどまった。 関東地方の企業では、シリコンウェハーなど半導体素材の提供や電子部品、半導体部材の生産装置製造といった企業が中心で、九州ではプラント建設のほか、廃水処理、クリーンルーム用品など消耗品(サプライ品)の供給といった内容が目立った。九州では取引社数が増加したものの、TSMCグループを頂点とした半導体サプライチェーンの構築は道半ばといえそうだ。