富士通の“新しいスパイス”宮下希保…自分らしさ追い求めながら日本一目指す
■新たな武器を模索
この町田の言葉を受けて宮下は、「トヨタ自動車は核となる選手がたくさんいる中で、私は合わせるプレーを一番に考えていたのですが、富士通は合わせる選手も多いので、合わせているだけでなく、時には自分で仕掛けるというのはやらないといけないなというのを中国遠征の試合ですごく感じました。中国では最後の試合を3番ポジションで少しやらせてもらったので、そうなると本当にドライブなどが必要になってくる。そこはもっともっとやっていかなくてはいけないなと思います」という。 これは、サマーキャンプのときから「まだ自分の中でドライブなどに少し怖さがあって挑戦しきれていない。チームの動きの中での自分が行っていいのか、ミスしてしまったらというのがあります」と、宮下自身が課題としていたことでもある。それだけに、町田らが代表活動から戻って戦力がそろった中、今後はシーズンを戦いながらプレーの連携を高めていくことになるだろう。 それでも、「器用な選手、3ポイントシュートもミドルジャンパードライブもポストもパスも、いろいろと上手です」(町田)、「ディフェンスもオフェンスもアグレッシブにできる選手。頼りにしています」(宮澤)と、すでにチームメートからの信頼は厚い。 今シーズンは、昨シーズンまで献身的な働きで富士通のWリーグ優勝に貢献した中村優花(昨シーズンをもって引退)が務めていたポジションを担うことが多くなるが、宮澤は「新しいスパイスというか、中村選手にはない宮下選手の良さがある」という。 宮下はトヨタ自動車時代から体を張ったディフェンスやリバウンドなどを見せていた選手。「昨シーズン、富士通が優勝したのは中村さんのあの泥臭いプレーがあったから。それは試合を見ていても思ったので、中村さんが抜けた分、トヨタ自動車から継続している泥臭いプレーをすること。それにプラスして3ポイントシュートや富士通はカッティングやドライブが多いので、中を開けたり、外から攻撃したりとパターンが増やせるようになればいいなと思います」と、意気込む。 「私自身経験がないわけではないので、(昨シーズンまで)相手として戦って、富士通の嫌なところなどは自分が一番よく分かっているので、そういうこともみんなに伝えられたらいいなと思います」と、宮下。 富士通の一員としてはじめて臨んだサマーキャンプではファンの声援にも背中を押された。「富士通に入って感じたのは、本当にいい選手ばかり。ファンの方たちが多い理由が分かるなと思いました。私も同じように富士通の選手として見てもらえるように頑張っていきたいです」 アイシン、トヨタ自動車と2チームでプレーし、実績を重ねてきた。覚悟を持って移った新天地で、10月12日、宮下は自身8年目のシーズン開幕を迎える。 取材・文=田島早苗
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