【天皇賞春・先手必勝】屈辱の2桁着順からの大逆襲「ダメージは最小限にとどめられた」8歳馬シルヴァーソニック盾奪取への条件
[GⅠ天皇賞・春=2024年4月28日(日曜)4歳上、京都競馬場・芝外3200メートル] 今週末に行われるのは「伝統」と「格式」の長距離GⅠ、天皇賞・春(28日=京都芝外3200メートル)。近2年は若い4歳馬が覇権を握ってきたが、今年はどうも様相が違うよう。ならば逆張りで最年長8歳馬の“白銀”シルヴァーソニックはどうか。陣営は「2秒2差」大敗からの大逆転Vを明確に描いている。 昨年の菊花賞馬ドゥレッツァに加え、ダービー馬タスティエーラにモレイラが騎乗となれば4歳勢が有力視されそう。ただ、この世代に関してはかねてそのレベルが疑問視されている。ベラジオオペラが大阪杯を勝ったものの、肝心のクラシックホースであるドゥレッツァが金鯱賞2着、タスティエーラが大阪杯11着と低レベルを裏付ける“物証”になってしまっている。 裏を返せばベテラン古馬勢にとって絶好機。その中でも当欄が推奨したいのは、昨年3着の実績を持つ8歳馬シルヴァーソニックだ。前哨戦・阪神大賞典の2秒2差惨敗(11着)からの大逆襲には確かな理由がある。 「乗っている限りではレース前、結構いいイメージを持っていたので“なんとかなるかな”と思っていました。ですが、あの結果でしたからね。休み明けにしたら、調教が明らかに足りませんでした」と池本助手が唇をかみしめた前走。さすがに10か月半の長期休み明けでウッドで長めから追ったのが2本だけというのは量が足りなかった。 それまで国内外の長距離レースで結果を残してきた本馬にとっては屈辱とも呼べるキャリア初の2桁着順。見据えていた春の盾奪取に向けて、黄色信号? いや、陣営の“火”は決して消えていない。「競馬のダメージは最小限にとどめられたので、スムーズに立ち上げることができました。1回使ったことで一段階上がってくれましたし、もうひとつ上がってほしいですね。追い切りでどう変わってくれるか」と池本助手は敗戦を受け止めつつも、前を向いている。 18日に行われた1週前追い切りでは、水口(レースはM・デムーロ)を背にウッドで併せ馬を敢行。前に3歳未勝利馬を目標に置く形でスタートすると、最後は一杯に追われ鋭い末脚で1馬身抜け出した(6ハロン80・1ー11・4秒)。水口はこれまでも池江厩舎の一流馬の稽古にまたがり、その都度、報道陣に的確な状態を伝えてきた“名ジャッジ”。そんな男が「追走する形で、直線は外を回ってしっかりやりました。動きは良かったですよ。今回は前回よりもはるかにいいです。1回使ったことで上積みを感じます」とかなりの好感触を口にした。 その言葉を受けて、再び池本助手のもとを訪ねると…。「いいころの雰囲気に戻ってきています。先週末あたりからピッチを上げてきましたし、そこを乗り越えればもう一段階上がってくれると思います。暖かくなった方がいいタイプ。春の時季は合っていますね」とこちらも確かな手応えをつかんでいるようだ。 過去2回の「悪夢」から脱出することが最後のキーだ。「内枠を引きたいですね。内々で競馬をしたいです」と池本助手。22年は8枠17番スタートから直後の落馬で競走中止、昨年は8枠16番と外枠を引き当ててしまう不運が続いている。「去年はあの枠でも頑張ってくれましたけど…」と同助手は口にするものの、極限の持久力勝負だけあって、できる限りロスなく最後のストレートを迎えたいのが本音。25日(木曜)に発表される枠順が真ん中より内なら…15年ゴールドシップ以来となる芦毛の天皇賞・春制覇がいよいよ近づく。
東スポ競馬編集部