最新の衛星画像で見る、シリアでのロシア軍の動向(海外)
アサド政権の突然の崩壊により、シリアにおけるロシアの将来について疑問が生じている。 【全画像をみる】最新の衛星画像で見る、シリアでのロシア軍の動向 ロシアは長年にわたり、同国内の2つの主要基地で軍事的な影響力を誇示してきた。 最新の衛星画像は、モスクワの軍艦と航空機が現在何をしているのかを示している。 新たに撮影された衛星画像は、アサド政権崩壊後のシリアにおけるロシア軍の動きを示している。 マクスター・テクノロジーズ(Maxar Technologies)が今週撮影し、Business Insiderが入手した画像によると、ロシアの空軍機はフメイミム空軍基地に依然として存在しているが、軍艦はタルトゥース近郊の海軍施設にはもはや駐留していない。 ロシアはシリアの長年の独裁者、バシャール・アサド(Bashar Assad)を残忍な内戦で支援してきた。しかし、反体制派がわずか数日間の急速な攻勢によってダマスカスを制圧し、アサドを追放したことで、週末には同国におけるモスクワの軍事的影響力が不透明になった。アサドはモスクワに逃亡した。 クレムリンはシリアへの影響力を誇示するのに軍事基地に大きく依存しており、その基地を失うことは大きな後退であり、ウクライナでの戦争のさなかにあるロシアにとって望ましいことではない。タルトゥースはロシア国外の主要海軍基地であり、ロシアにとって重要な温帯海域へのアクセスを提供している。一方、モスクワはアフリカへの軍事部隊の輸送にフメイミム空軍基地を使用している。 12月9日に撮影された衛星画像には、沿岸都市ラタキア近郊のフメイミム空軍基地にロシアの航空機、ヘリコプター、軍事装備が駐留している様子が写っている。隣接する民間のバセル・アル・アサド国際空港には、多くの人々が押し寄せていた。 現時点では、すでにロシアが撤収したのか、また、この基地を維持するのかどうかは不明だ。 12月10日に撮影された画像によると、地中海に面した港湾都市タルトゥースの海軍施設からロシアの軍艦が姿を消していることが分かった。少なくとも2隻のフリゲート艦が沖合数kmの地点で目撃されている。 12月5日には、タルトゥース海軍基地にロシアの水上艦5隻(フリゲート艦3隻、補給艦2隻)と潜水艦1隻が確認されていたが、12月9日までに施設を離れ、翌日もそのままだった。軍艦がいつ港に戻るかは不明だ。地中海に軍艦が存在しているのは、陸上の不確実性が高まっている中での安全上の理由からで、タルトゥースからの完全撤退ではない可能性もある。 ロシアが長年維持してきたタルトゥース海軍基地とフメイミム空軍基地の今後の支配権をめぐる疑問が浮上する中、これらの新たな衛星写真が公開された。ロシアの国防省は、大規模な軍事態勢の変更を公に示唆してはいない。ウクライナの軍事情報機関は、ロシアが基地から撤退し、軍を避難させていると発表した。Business Insiderは独自にこれを確認することはできなかった。 クレムリンは、移行政府の詳細が明らかになるにつれ、シリアの新政権との協議を通じて、基地の安全を確保するための措置を講じていると述べた。ロシア国営メディアは、反体制派がロシアの軍事施設がある地域を支配していると伝えている。 もしロシアがこれらの基地へのアクセスを維持できなければ、この地域におけるモスクワにとっての厄介事となる可能性がある。アメリカに拠点を置くシンクタンク、戦争研究所(Institute for the Study of War)の紛争アナリストは12月9日に発表した評価の中で、「ロシアがシリアにおける基地を失う可能性は、ロシアが地中海で影響力を発揮し、NATOの南側を脅かし、アフリカで活動する能力に重大な影響を及ぼすだろう」と述べた。
Jake Epstein