北のミサイル、台湾有事…核戦争時代をサバイブするための「核シェルター」設置工事現場を〝潜入撮〟
北朝鮮がミサイルを発射したというニュースはもはや日常茶飯事。南では台湾有事への懸念も高まっている昨今、核シェルターが注目を浴びている。東京都が今年度から外国からのミサイル攻撃に備えて住民が一定期間滞在できる「地下シェルター」の整備をすすめる方針を固めたと報じられた。すでに都営地下鉄大江戸線・麻布十番駅構内などが候補地としてあがっているという。 【潜入撮】すごい…これが核戦争でも2週間生き抜ける核シェルターの内部だ‼ 海外では法律でシェルターの設置を義務付けられているスイスやイスラエルは100%、アメリカ、ロシア、イギリスでも設置率は約80~70%だという。近隣の国では台湾が370%、韓国が300%だという数字もある。対して日本は0.02%で、ごくわずかな富裕層が設置したものだけなのだとか。 だが、ここ最近では国内で販売される例も増えているようだ。長野県上田市の建設会社㈱SEIRYOUで、新たに9月にモデルルームをオープンするために核シェルターの設置工事をしているというので、その〝現場〟を取材した。 「半年前の能登の地震の時にペットが置き去りになって放置されているという映像を弊社の清水(社長)が見たんです。災害が降りかかった時、今までは自分の命を守るだけで精一杯で、それ以外は何もできないというのが現実でした。でもシェルターがあれば家族はもちろん、ペットのような小さな命も救うことができる、そういう思いで弊社の事業として始めさせていただきました」(㈱SEIRYO広報担当・堀内清司氏) 小高い丘の中腹にある住宅展示場を訪れると、奥のほうに約10m四方ほどの大きな穴が掘られており、その中に真っ黒い鉄の箱が鎮座していた。このシェルターを製造しているアンカーハウジング㈱の吉山和實代表によると、米軍で採用されている規格と同じものを国内で製造。核の放射能が消えるまでにアメリカの研究所の見解では2週間かかるといわれており、その2週間をこのシェルターの中でサバイブするための、空気、水、食料と生活環境が整えられる。 「このシェルターのサイズは幅2.4m×奥行5m×高さ2.4m。これはトレーラーに乗せて運べるぎりぎりの大きさです。設置するには作業するスペースが1mずつ取れればいいので、10坪ぐらいあれば十分。2台ぶんのカーポートぐらいのスペースがあれば、そこに掘って埋められます。実際にこれまでカーポートがあったところに設置して、その後カーポートを復元した例がありました」(吉山氏) 地上に設置された入り口から階段を下りて、内部も見せてもらった。まだ内装工事はこれからだとかでむき出しの鉄板の床と壁にペンキを塗っただけの状態だった。けっして広くはないが、高さがそこそこあるので思ったほど閉塞感はない。心なしか地上よりも涼しい気がする。 「放射能を99.8%シャットアウトする特殊な空気清浄機を設置しています。食料、水を貯蓄できる棚や1人1台のベッドを4人ぶん確保できるようなスペースを作ります。トイレは水洗トイレだと断水になる可能性があるし、簡易トイレは不潔なので、バイオトイレを設置します。あとはミニキッチンですね。水道が使えない場合は備蓄した水を使います。 電源は太陽光発電機と蓄電池がありますが、暑い夏でもエアコンは動かせません。それでも生活できる25℃ぐらいの温度に保てることが地下シェルターの1つの大きなポイントです」(同前) ふだんは、ワインセラーやホームシアター、金庫などとしても使用できるという。音が漏れにくいので楽器の練習部屋などに使用する例もあるそうだ。ただ、お値段2750万円というのがやはりわれわれ庶民にはネックだろう。さらにこれに設置工事のコストがかかる。また、都市部ではまず設置するスペースを確保するのが至難の技だろう。現時点では、やはり富裕層向け物件なのだ。ただ、それでもいざという時のこのシェルターの〝実力〟は確かなものだと吉山氏は語る。 「さすがに爆弾が直撃したら無理です。でも、実際のデータがあるんですけど、広島の原爆の時に爆心地から100mか200mぐらいのところで助かってる人がいるんですよ。それが、たまたま地下に潜っていたという人なんですね。核爆弾の場合は放射能以上に爆風の熱で亡くなる人がほとんど。放射能もそうですけど、シェルターは爆風も完全にシャットアウトできるので、爆心地から100~200mぐらい離れていれば大丈夫です」 シェルターを買えないわれわれ一般人は、何かあったらせめて地下に逃げるしかなさそうだ。
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