<吹け赤い旋風>聖カタリナ 支える人々/下 学食調理担当 峰岡君代さん(46) 心身気遣う「第2のお母さん」 /愛媛
大阪や東京などから“野球留学”して寮生活を送る部員が多い聖カタリナ学園。彼らの胃袋を満たす担当は学食の調理スタッフ7人。女子寮生らの分も合わせて平日の朝、昼で計100食以上を用意する。峰岡君代さん(46)は親の世代に近いからか、特に親しまれている。「『おばちゃん!』と声をかけてくれて、元気をもらえる」と体力仕事も苦にしない。 この仕事を始めたのは9年前、まだ女子校だったとき。2016年に初めて、坊主頭の集団が学食に姿を現したときはスタッフもみな緊張したとか。今では慣れたもので、どんなシャイな子でも日々会話を続けて数カ月もすれば大体打ち解けてくれる。 午前5時出勤。調理を終えた同7時ごろ、朝練前の選手たちが訪れる。新型コロナウイルスのため、食べるときに向かい合わないよう席を離しているが、それでも「朝からめっちゃ元気」(峰岡さん)。人気メニューは育ち盛りには王道の「鶏のから揚げ」「ハンバーグ」など。それでも栄養士の指導の下、野菜や魚などバランスよく取れるように日々献立を工夫する。 3人の娘の母でもあり、次女が同校に通う峰岡さん。選手らに日々接しているせいか、ちょっとした変化にも気づくようになった。体調が悪そうな時、ケガで調子が悪そうな時には積極的に声を掛ける。石川航大(こうだい)選手(2年)は1年前、風邪で1週間ほど熱が下がらなかった時に好物のプリンを差し入れしてもらったことが心に残っている。「『早く治してね』の言葉がうれしかった。第2のお母さんみたいです」とはにかんだ。 センバツが決まる1月末の前後から、特に2年の主力選手は顔つきが変わり「やるぞ!」という気概も見られた。本番に向けて練習も追い込み時期に差しかかったが「プレッシャーをかけないように、いつも通り変わらずに接したい」。初戦(23日)は“我が子たち”の躍動をアルプススタンドから見守るつもりだ。(この項は遠藤龍、斉藤朋恵が担当しました)