企業の「電帳法」への対応完了、3割に届かず ~95.6%が「懸念・課題あり」~
―電子帳簿保存法に対する企業の対応状況アンケート―
2023年10月にスタートしたインボイス制度(適格請求書等保存方式)に続き、2024年1月からは改正電子帳簿保存法(電帳法)の運用が本格的に始まります。 電帳法では、原則として電子取引を行っているすべての企業や個人事業主に対し、2024年1月からは、メールやクラウドといった電子的な方法で受領した請求書や領収書などについて、電子データによる保存が義務付けられます。 また、これまで紙の保存が原則であった、クレジットカードなどキャッシュレスで支払った場合や電気料金の請求などについても電子データでの保存が認められるようになるなど、利便性の向上が期待されます。 そこで帝国データバンクは、対応の義務化が目前に迫るタイミングで、電帳法への対応状況および懸念事項や課題について企業へアンケートを行いました。
電帳法への対応が完了している企業は3割弱。企業規模が小さいほど対応に遅れ
電帳法について、「すでに対応できている」企業は28.5%となりました。一方で、完全には対応していないが「一部対応できている」は39.5%、「現時点未対応だが、対応予定はある」は23.9%となり、6割超の企業(63.4%)が対応する予定でありながら完了していない状況にあります。 対応済みの企業からは、「クラウドサービスを購入。機能を生かして電子保存義務のある帳簿・書類以外も、電子保存してペーパーレス化を推進」(機械・器具卸売)といった、前向きに取り組む姿がみられました。 他方、「実際に運用を進めてみないと問題点が浮かんでこない。不安だらけ」(建設)や「システムを導入したいが、請求書の発行もほとんどの取引先が紙での対応であり、費用対効果が見込めないため先送り。パソコンでの簡易保存で対応する予定」(出版・印刷)と、対応が完了していない企業からは、2024年1月から運用を始めつつ様子を見ながら対応していくといった声も聞かれています。
規模別にみると、「すでに対応できている」では「大企業」(38.8%)が4割弱となる一方で、「中小企業」(26.8%)や「小規模企業」(21.2%)は「大企業」より10ポイント以上低くなりました。「大企業であっても完全に対応するのは難しいと聞くので、中小企業には厳しすぎる内容」(機械・器具卸売)と、「大企業」に比べ「中小企業」や「小規模企業」で対応が遅れている様子がうかがえています。