アメリカ艦船が石垣港に寄港計画「安全を守る」全港湾はストライキを実行… 玉城知事「使用自粛を」
アメリカ海軍のミサイル駆逐艦「ラファエル・ペラルタ」が3月13日ごろにかけて沖縄県・石垣港に入港・停泊する計画について、玉城デニー知事らが反対の姿勢を表明している。 港湾やトラック等で働く人々が集まった労働組合「全日本港湾労働組合」(全港湾)沖縄地方本部の組合員は3月11日午後1時、石垣港で全面的なストライキを実行に移した。その一方、石垣市は小型船接岸のための岸壁の使用を許可。関係者以外が立ち入りできないようにバリケードを設置するなどした。
休憩や物資等の補給のため寄港した「ラファエル・ペラルタ」
ラファエル・ペラルタはアメリカ海軍のミサイル駆逐艦で、長さが約150m、幅20m。巡航ミサイル「トマホーク」や多用途哨戒ヘリコプター等を搭載し、21年から在日米軍の第7艦隊に所属している。ラファエル・ペラルタは3月11日午前8時40分ごろに沖縄県石垣市の石垣港沖合に停泊。乗組員の休憩やさまざまな物資等の補給を行うため寄港した。 共同通信によると、石垣市は当初、水深の足りる岸壁がないとして接岸することを拒否したため、ラファエル・ペラルタは沖合に停泊することになり、乗員は民間船に乗り込んで上陸したという。さらに、小型船の接岸のための申請書類が整っていないとしてアメリカ側の申請を認めなかったが、3月9日夕方までに申請書類がそろい、石垣港クルーズ船バース岸壁の使用を許可した。
「市民を守るため反対」と決議提出、石垣市議会で論戦も反対多数で否決
3月4日、石垣市議会の本会議では、石垣港寄港計画をめぐって論戦が繰り広げられた。 この日、井上美智子市議(共産)が提案したのは「米海軍のミサイル駆逐艦『ラファエル・ペラルタ』の寄港反対決議」。「市民の安全安心を守るため、米海軍のミサイル駆逐艦『ラファエル・ペラルタ』の寄港に対して抗議する」のが理由だとした。決議の主な内容は以下の通り。 ・全港湾による全面ストライキが実施された場合、物流の停滞により市民生活に重大な影響を及ぼす ・日本政府は「安保3文書」による防衛力強化の一環として、軍事利用を目的に空港や港湾など、公共インフラの改修や整備を始めようとしている ・石垣港等は「特定重要拠点空港・港湾」の候補に挙がっており、先取りするかのように米軍が利用することは自治体として認めることはできない ・ジュネーブ条約で民間の空港や港湾を攻撃することは認められていないが、軍事利用されていると攻撃対象になる ・武器や弾薬を積んだ軍艦の入港は極めて危険。市民の安全や安心を守るため、寄港に反対する 一方、与党側は反論。 長山家康市議(自民)は、日米同盟について言及し「平和を守るための同盟であり、日米両国のみならず東アジアやインド・太平洋の安定と繁栄させる機能を果たす公共財として国際的に評価されている」「反対に、世界を不安定化させる今回のような決議については断固反対だ」と決議に反対した。友寄永三市議(無所属)も「ストライキになると市民は迷惑だと思う。特別、アメリカ軍の人たちは何もしていない。この人たちが上陸すると危険なことが起きるということは空想だ」と決議を痛烈に批判した。 結局、決議は反対多数で否決されている。