「モーニングルーティン動画みたいな部屋に住みたいねん」俳優・坂口涼太郎の初エッセイ。東京中のロイホを渡り歩くのはマズいと起こした行動とは
日常にこそきらめきを見出す。俳優・坂口涼太郎さんが、日々のあれこれを綴る新連載が始まります。記念すべき初回エッセイは「メイ・ザ・らめ活・ビー・ウィズ・ミー〈前編〉」です。はじめての執筆がもたらした日常の変化とは? 坂口涼太郎の初エッセイを読んでみよう、読んでみたろか、どんなもんやねん、とこのページをタップorクリックしてくださったあなた。とってもありがとうございます。ご機嫌いかがですか? 私はドラマや映画や舞台などでお芝居をしたり、テレビ番組でお話したり、作詞作曲してピアノを弾きながら歌ったり、振り付けをして踊ったり、歌人だと言い張って短歌を詠んだりしながら、好きなことに手を出せるだけ出して暮らしている坂口涼太郎と申します。 今日からまた新たに新たなおててを出して、「今日も、ちゃ舞台の上でおどる」というエッセイの連載を始めることになりました。連載のタイトルの通り、自宅のちゃぶ台こそ舞台、生活こそ本番、日常こそドラマティック、という気持ちを込めて、私の生活においての失敗や煩悩やあきらめなどを、ちょっと聞いてもらってもいいですか? と踊りながら泣いたり笑ったりする勢いで書き、毎週日曜日の12時に、ここ、私のちゃ舞台からお届けいたします。願わくば、あなたの生活のほんの少しの気分転換になれますように。それでは連載スタートです! 貯金が1円もないのに物件を見ています。そして、あろうことか2軒内見をしてしまいました。お金ないのに、平静を装って、さも引っ越す準備はもう金銭的にも時間的にも整っているんですみたいな顔をして、見積書とか出してもらった。お金ないのに。どうしてこんな暴挙に出ているのかと言いますと、あと3ヵ月後に今住んでいる部屋の更新がある。 プラス、このエッセイを執筆することになってから、今までくつろぐ為だけに全力で環境を整えてきたわが家が仇となり、自宅で執筆しようとしてもテレビ見てまう、本読んでまう、お茶入れてお菓子食べて眠ってまう、お腹空いてごはん作って食べて眠ってまう、眠ってまう、などの理由で結局締め切り前日にロイホに駆け込み半泣きになりながら5時間無心でタイピングするという始末。執筆部屋が欲しい、せめて机と椅子を置けるスペースが欲しい、ていうか必要。このまま自宅で書けない日々を過ごして東京中のロイホを渡り歩いていたらお財布的にも私的にもロイホ的にも困る。 プラス、「北欧、暮らしの道具店」というユーチューブチャンネルのモーニングルーティン動画を見始めたところ、そこには夢の権化というか、その物件どうやって見つけたん? 家賃いくらなん? 部屋のつくりとかディテールどうなってんの? そんな物件スーモで出てくんのほんまに? というようなすてきすぎるお宅の数々を見ていたら感化されたと言いますか、私もあんな風にモーニングルーティン動画のオファーが来ても全く動じないような部屋に住みたい、貯金は1円もないけど住みたい、物件物件ぶっけん! そんな渇望に突き動かされて、朝までスーモを見続けて、ついには一文なしの状態で内見という暴挙に出た次第でございます。