岡田監督をしびれさせた門別vs中野の全球直球勝負と「クローザーなんか任せられへん」とあきれさせた湯浅の154キロ
阪神は11日、沖縄宜野座で1、2軍合同の紅白戦を行った。立候補制だった打順が話題になったが、圧巻だったのが先発した2年目の左腕、門別啓人(19)と4番に入った中野拓夢(27)の対決だ、中野がファウルで7球も粘ったが、門別は全球ストレート勝負を挑み空振りの三振に打ち取り、岡田彰布監督(66)を「ほんま凄かった」としびれさせた。一方で湯浅京己(24)は最速154キロを示したが、ファウルや空振りを取れずに3連打を浴びるなど不安な一面をさらけ出し、指揮官は「クローザーなんか任せられんよ」と厳しい評価を下した。 【画像】「ノーバンに見えた!」乃木坂46の向井葉月さんが西武始球式で感涙
沖縄キャンプの伝説に残る名勝負だった。 1回一死一、三塁で門別vs中野の対戦が実現した。 岡田監督が「性格とかわかるやんか」と、立候補制で行ったキャンプ初の実戦となる1、2軍合同の紅白戦。ホテルの食堂に貼りだした打順表に各自が名前を書き込むのだが、「4、7、9番が最後まで空いていた」(岡田監督)。食堂に来るのが遅かった中野は、4番しか選択肢がなかったという。 門別は全球ストレート勝負を挑んだ。 カウント2-2からファウルで2球。フルカウントとなって、さらに3球ファウルで粘られた。通常は閉鎖されている外野の芝生席がライト、レフトの順で全面解放され、ビッシリと埋め尽くした1万5000人ものファンは、その1球、1球を固唾をのんで見守った。 真後ろのネットに椅子を出して見ていた岡田監督は「最後まで真っ直ぐ勝負でいくんやろうか?」と、周囲のスタッフに漏らしたという。 門別はぶれない。 「真っすぐで空振りを取れたらいいと続けた」 11球目。外角低めのストレートの前に、ついに昨年の最多安打タイトル保持者のバットは空を切った。 「ほんま凄かったなあ」 岡田監督も最速148キロをマークした門別の11球にしびれた。 「初めての1軍キャンプで今がおそらく一番疲労が蓄積してしんどい時期よ。それであれだけのボールを投げるんやから、たいしたもんよ。しかも、全部低めに集まっていた。中野の打球が前に飛ばなかったのは、球持ちがええから、手元で伸びるんやろうな」 坂本の二塁への送球ミスなどで1点を失ったが、さらに岡田監督を感心させたのは2回の投球だった。7番近本をショートライナー、8番木浪を外角ストレートで三振、9番ノイジーを144キロの高めのストレートでキャッチャーフライに打ち取った。 「ノイジーに対して坂本が高めを要求した。それに応えて狙って打ち取ったもんな」 指揮官は、初の実戦登板に細かい配球や結果などを求めていなかったが、ストライクゾーンを自在に使える精度にも見るべきものはあった。 スタンドには担当スカウトである葛西稔の姿があった。1987年のドラフト1位のアンダーハンド。野村克也氏が阪神監督時代に遠山との変則勝利方程式に葛西を起用したことで話題となった。東海大学付属札幌高の門別をずっとマークしてきた。 「とことん真っすぐで押していましたね。気持ちが強く、野球に取り組む姿勢が真面目なんです。昨年は、右打者の外角を攻めきれないのが課題だと聞いていたけれど、そこにも成長の後が見えました。まだまだ成長途中。素材としては、将来的に2桁勝てる投手です」 阪神のローテーションは、村上、大竹、伊藤、才木、青柳、西勇と6人が揃っている。だが、長いシーズンを戦うためには、あと2枚は必要で、門別が、そこに食い込んでくる可能性のあることをキャンプ一発目の実戦で十分に示した。