6543万円の新型ランボルギーニ・レヴエルトは、まるで“ミレニアム・ファルコン号”だった! 近未来のスーパーカーに迫る
ランボルギーニの新型「レヴエルト」に、日本で乗った! 刺激的だったサーキット走行を、小川フミオがリポートする。 【写真を見る】新型レヴエルトの細部(19枚)外からエンジン丸見え! 過激な内外装が凄い!
合計出力1015ps!
1015psの最高出力を誇るランボルギーニの新しいスーパースポーツ、レヴエルトに、2024年7月に試乗した。 2030年にピュアEV(電気自動車)の発売を計画しているランボルギーニが、電動化へと歩を進めるなか投入されたのが新型レヴエルトだ。なんと、6.5リッターV12(ノンターボ)に、電気モーターを組み合わせたハイブリッドで、合計出力は1015psという。 私が試乗したのは、富士スピードウェイの本コース。とにかくリヤからの眺めが、ハッとするほど個性的だ。ふたり乗りのキャビンの背後に搭載したV12エンジンが露出していて、その先に4本の排気管を2本ずつまとめた巨大な楕円形のテールカッターが突き出している。 太い排気管がルーフから続いているような造型で、見ていると、私たちにとって未知のパワープラントで駆動されるマシン……というイメージがふつふつと湧いてくる。サイファイ(SF)好きは、一発でやられるはず、だ。 あまりにも大胆な造型で、映画『スターウォーズ』に出てくるミレニアム・ファルコン号を見ているような気分になってくる。高速道路でこのクルマを見るとしたら、たいていは、追い抜かれたときのリヤビューだろうから、「まだ見ていない人は、その時をどうぞお楽しみに」と、言いたくなる。 サーキットでは、まず、ダッシュボード左手に設けられているドライブモードセレクターで「チッタ(街)」を選んで発進。これは電気モーターのみのモードだ。バッテリー駆動でグイグイと加速していく。 1コーナー手前でドライブモードのつまみを「ストラーダ」に入れる。これで12気筒エンジンが目覚める。欧州委員会では、通過騒音を規制しているため、爆音でないものの、低音基調のはじけるようなサウンドが背後から聞こえてくる。 ストラーダでも驚くほどの速さが味わえる。「街中でもこれはヤバいですよね」と、思わず声が出そうになるぐらい。はじけるような加速とともに、正確なステアリング、強力でかつ反応が素晴らしく気持ちよいブレーキ……。 とくに加速がすばらしい。高速域からさらにアクセルペダルを踏み込んでみると、「いったい何キロ出るの!」と、驚きの声が出てしまうほどの、加速力が味わえる。 脳内で描いた走行イメージがそのまま、実際の走りで味わえるのだ。「スポルト」さらに「コルサ(レース)」だと、ダイレクト感がさらに増し、昇天しそうな気持ちよさだ。 いっぽうで、実に乗りやすい。これはランボルギーニ車の美点をうまく引き継いでいる。「コルサ」で、かつ、コーナリング中などに横滑りを防止するESC(エレクトリックスタビリティコントロール)オフのモードを選ぶなら話は別だけれど、基本的にどのモードでも、安心して思う存分楽しめるはず、だ。 インテリアは、どの角度から見てもランボルギーニそのもの。多角形のモチーフを多用しているのも、おなじみの手法だけれど、全体的にあたらしい。インフォテインメント用のモニターが大型化したのと同時に、操作系の物理的スイッチの数が減った。 シート形状もおもしろい。バックレストのデザインが、エンジンスターターの赤いカバーの形状を模したように見えるはランボルギーニ車の特徴だ。ホールド性はとてもよく、長時間乗っていても疲れなさそう。 長時間といえば、ツーリング用に、手荷物がおけるスペースがシート背後に設けられている。今回のサーキット走行ではまったく関係なかったが、このクルマを買おうというひとには、ありがたい設計だろう。 ランボルギーニの日本法人では「23年3月にレヴエルトの披露したとき、『今、手付けを打つから真っ先に納車してほしい』というカスタマーもいらっしゃいました」と、話す。その人は、乗るために買うのか、それとも車庫に入れて眺めるために求めるのか……いずれの場合も、きっと満足がいくだろう。私が保証する。
文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.) 編集・稲垣邦康(GQ)