エネルギー基本計画を閣議決定、再生可能エネルギー促進の課題とは?
日本の今後およそ20年前後までのエネルギー政策の方針となる「エネルギー基本計画」が11日、政府の方針として正式に決定されました。決定されたのは、2月にとりまとめられていた政府原案に対し、自民・公明両党が修正を加えた内容です。そういう意味で「再生可能エネルギーの普及を推進する」という自民・公明両党の意向を色濃く反映した計画になっています。再生可能エネルギー導入にあたり、どんな課題が予想できるのか見てみることにしましょう。 再生可能エネルギー(再エネ)は、地球温暖化の原因となる二酸化炭素を出しませんし、エネルギーが枯渇することもありません。すべてのエネルギーを再エネでまかなえると確かに素敵なのですが、再エネは再エネで普及させるのはそう簡単ではありません。 再エネ先進国と言われているドイツを例にとりましょう。2012年の時点で、ドイツの再エネ比率(水力含む)は22.4%です。日本の比率が10.0%ですから、日本からみると確かに先進国ですね。偶然かも知れませんが、自民・公明両党は、ドイツの数字に近い「約2割」という数字を意識しています。
結局化石燃料に頼ることになる?
さて、ドイツでは太陽光発電や風力発電の導入を熱心に進めました。結果、石油火力や原子力への依存度は減りました。しかし、太陽光は夜間や雨天時に発電しませんし、風力は風がないと発電しません。すべての電力を再エネに頼ると、電源供給が不安定になるため、これをバックアップする電源が必要になったのです。 ドイツは原子力の依存度を下げるため、前倒しで古い原発の廃炉を決定。そのため原子力でバックアップすることはせず、コストが低く、柔軟に電力を生み出せる石炭火力を選択しました。 その結果、二酸化炭素を排出する石炭火力発電への依存度がトータルでかえって増加するという現象が起きています。しかも、天然ガス火力2300万キロワットのうち、600万キロワット分の発電設備は、1年間のうち3週間しか動いていないという状況です。 日本では、化石燃料に先祖返りしないバックアップ電源として、地熱発電を選択するという手がありますが、通常、3万キロワット(原発の1/40の規模)の地熱発電所を作るのに、調査、掘削、建設と10数年かかると言われています。 再エネ比率が高まったとき、日本は何をバックアップ用の電源として使うことになるのでしょうか?