実は日本以上に深刻 中国で「少子化」が著しく進むワケ 5年で700万人以上減
中国は長年、世界で最も人口が多い国でしたが、近年は少子化が進み、人口が減少しています。国連人口基金(UNFPA)が2023年4月に公表した世界人口の推計値によると、インドの人口が14億2860万人と、中国の14億2570万人を上回り、世界一となりました。なぜ中国で少子化が進んでいるのでしょうか。ノンフィクション作家で中国社会情勢専門家の青樹明子さんが解説します。 【画像】日本人よりもプライドが高い? これが“中国人”とうまく付き合うコツです
「合計特殊出生率」は1.09で日本を下回る
中国で「麻雀学校」(スズメの学校)という言葉を耳にします。スズメは小さな群れを成すことから、在校生が10人以下の規模が非常に小さい小学校のことで、子どもの数が少ない農村地区を中心に存在しています。 麻雀学校は教育環境、学習条件の質が低い点が問題視されていますが、存在するだけまだましで、次第に子どもが集まらないため、「貝殻学校」となり、やがて、老人ホームや民宿へと姿を変えていきます。2022年末時点では、全国で96万校の麻雀学校が廃校になりました。 中国国家統計局が2024年1月17日に公表したデータによると、2023年末時点の中国の出生数は902万人で、前年から54万人減少しました。 また、1人の女性が一生のうちに産む子どもの推計人数を示す「合計特殊出生率」は2022年時点で1.09で、人口1億人以上の国々の中で最も低い数値となりました。ちなみに、日本の2022年の合計特殊出生率は1.26です。 中国政府が人口爆発を懸念し、「1組の夫婦に子どもは1人だけ」と無理やり決めた「一人っ子政策」を正式に導入したのが1980年です。2016年に廃止されるまで36年間続きましたが、その間に2人目の出産を強く望んだ人は多くいました。 しかしながら、2人目の子どもの出産が解禁された2016年こそ出生数は1786万人と増加したものの、2017年は1725万人、2018年は1523万人と下降し、2022年には956万人と1000万人を切りました。政策撤廃後、多くの人々が選択したのは「産まない」もしくは「考慮中」だったのです。