欧州議会選で右派が拡大、日本の保守勢に〝追い風〟 「移民流入」「環境規制」に人々が反発 解決策としての国家保守主義運動へ
「頼りになるのは国家と志を同じくする国との同盟」は自然な流れ
フランスでは、2021年時点で約700万人の移民が暮らしている。これは人口の1割強に相当する。欧州には、イスラム系移民が大量に流入し、その国の法律や警察権の行使が事実上、難しくなっている地区さえある。
移民や環境保護への不安や不満は、切実な問題として人々の前に存在している。解決策として提示された国家保守主義が支持されたのだ。
11月に大統領選を控えた米国で、トランプ氏が支持を集めているのも、「移民への不安」が大きな理由だ。トランプ氏は前政権時代から国境の壁建設を唱えて、不法移民の追放を訴えてきた。
日本でも、移民に対する不安が高まっている。例えば、正規の滞在資格を持たずに、仮放免中の外国人が多く住み着いている埼玉県川口市では、住民が市や警察に対応を求める一方、市は国の対応に不満を表明している。
岸田政権は「移民政策をとらない」と言いながら、「事実上の移民政策」を進めている。特定技能制度を衣替えした育成就労制度の下で、5年間で最大82万人の外国人労働者が流入する見通しだ。熟練した技能なら、無期限で滞在期間を延長でき、家族も呼び寄せられる。
川口市の混乱は、日本がなし崩し的に移民政策を進めてきた結果である。
こうした現実が進行するなら、日本でも、欧米のような国家保守主義運動が勢いを増していくだろう。4月の衆院東京15区補選で、日本保守党(百田尚樹代表)が擁立したイスラム研究家の飯山陽氏が健闘したのは、その表れだ。
国連のような国際機関は、ロシアや中国、イラン、北朝鮮による侵略や軍事的威嚇に無力だった。そうであれば、「頼りになるのは国家と志を同じくする国との同盟しかない」という認識が広がるのも、自然な流れだろう。
メディアや識者たちが、保守勢力を「極右」とレッテル貼りをしても、国民の不安は解消されない。むしろ、ますます信頼を失っていく。