欧州議会選で右派が拡大、日本の保守勢に〝追い風〟 「移民流入」「環境規制」に人々が反発 解決策としての国家保守主義運動へ
【ニュースの核心】 欧州連合(EU、27カ国加盟)欧州議会選挙(9日開票)は、各国で「行き過ぎた移民政策」や「厳しい環境規制」を批判する右派勢力が拡大した。G7(先進7カ国)首脳会議が13日開幕したイタリアでも、ジョルジャ・メローニ首相率いる右派政党「イタリアの同胞」が大幅に議席を増やして第1党となった。こうした流れは、岸田文雄政権下で「共生社会の実現」という名の外国人受け入れが加速する日本でも現出するのか。ジャーナリストの長谷川幸洋氏は、欧州議会選挙の結果を分析し、自国と国民の利益を最優先する国家保守主義運動の広がりに迫った。 欧州議会選挙で、フランスやドイツなどの右派勢力が勢力を伸ばした。「ロシアの脅威」や「移民問題」を背景にしたこの動きは、いずれ日本にも波及し、保守勢力の追い風になるに違いない。 フランスでは、マリーヌ・ルペン党首率いる「国民連合(RN)」が、エマニュエル・マクロン大統領の与党連合を2倍以上も引き離して圧勝した。この結果を受けて、マクロン氏は国民議会(下院)の解散を発表した。ドイツでも、右派の「ドイツのための選択肢(AfD)」が、オラフ・ショルツ首相の社会民主党を上回った。 イタリアでは、メローニ首相率いる「イタリアの同胞」が、オーストリアでも「自由党」が、それぞれ第1党となった。 これらの政党を、日本のメディアは「極右」、英語メディアも「ファーライト」と報じている。何やら「狂信的右翼」をイメージしがちだが、それは正しくない。「行き過ぎた移民流入」や「厳しい環境政策」に反対し、EUのような地域的枠組みよりも「国家主権を大事にしよう」という勢力だ。 それは、ドナルド・トランプ前米大統領が掲げる「米国第1主義」にも通じる。「自国と国民の利益こそが最優先だ」と訴えている。私は「国家保守主義運動」と認識している。 なぜ、こうした勢力が伸長したのか。 それは、日本のメディアや論者が宣伝しているように、まず「国家最優先のイデオロギー」が先にあって、「移民増加に抱く不安や環境保護への不満に乗じた」のではない。順序が逆だ。