新店が続々オープン! うなぎチェーン戦争がヌルッと始まっていた!
うな丼、うな重といえば高級料理。そんな時代はもうおしまい? お手頃な価格でうなぎが食べられるチェーン店が急増中。その勢い、まさにうなぎ上り! しかし、絶滅が危惧されているうなぎがなぜ今ブームに? 【写真】価格破壊系から高級路線まで.、記者が訪れた7店のうなぎを見る ■関東風がブームを牽引。その理由は? 首都圏や東海圏を中心にうなぎ店のチェーンが激増している。例えば、うな丼が1杯590円から食べられる「名代(なだい) 宇奈とと」は現在、海外を含めて102店舗を展開中。これはコロナ禍が始まった4年前の7倍超というすさまじい成長スピードだ。 また、「うなぎ四代目菊川」や「炭焼うな富士」など、ひつまぶしの本場・名古屋から東京に進出するケースも増えている。 うなぎといえば2013年に環境省がニホンウナギを絶滅危惧種に指定するなど、食材として希少な印象が強いが、なぜここにきてこれほどの盛り上がりを見せているのか? その背景をフードジャーナリストのはんつ遠藤氏に聞いた。 「このブームを後押ししているのは、ひとえに中国の技術向上が大きいでしょう。かつての中国産うなぎはゴムのような食感で評価が低かったのですが、最近では加工技術が向上。中国で生産して加工し、冷凍して輸入すればキッチンで調理するだけでふっくらと仕上げられるようになったのです」 うなぎには蒸してから焼き上げる関東風と、蒸さずに焼く関西風の地焼きがある。興味深いのは、国内全91店舗の「名代 宇奈とと」や全89店舗の「鰻(うなぎ)の成瀬」など、多店舗展開を重視するチェーンには関東風が多いことだ。ここにひとつのカギがある。 「関西風の地焼きとは、腹開きにして数匹を金串で打ち、白焼きにしてからタレをつけて焼く手法ですが、この加工を施すと身が硬くなってしまうため、輸入うなぎには適しません。そこで関東風の加工に着目し、技術的なイノベーションが起きたことで、これほどの安定供給が可能になりました。 その立役者は『名代 宇奈とと』で、関東風でふっくらと仕上げる技術を確立したことが今のブームにつながっているといえます」(はんつ氏) イチから炭焼きでかば焼きを仕上げようと思えば本来、訓練された職人が一定数必要になり、多店舗展開が難しくなる。しかし「名代 宇奈とと」や「鰻の成瀬」では、加工の段階で技術的な課題をクリアし、大規模なフランチャイズ展開に成功したのだとはんつ氏は語る。