公共交通維持へ実態調査 奄美大島、来年2月に5年計画策定 貨客混載など提案
鹿児島県奄美大島の5市町村の官民でつくる「奄美大島地域公共交通活性化協議会」の2024年第2回会合が28日、奄美市役所であった。「奄美大島地域公共交通計画」の策定に向けた中間報告があり、実態調査の結果や計画案などを共有。内容について意見を交わし、今後のスケジュールを確認した。 同協議会は、島内で深刻化する公共交通の利用者減少や担い手不足などを背景に4月に発足。奄美市商工政策課を事務局とし、島内5市町村の首長や国、県の担当者、バス・タクシー事業者などで構成する。この日は約20人が出席した。 計画は、持続可能な地域公共交通の在り方について基本方針と目標を示すもの。5市町村をまとめた広域計画と各自治体の計画の計6種類を策定する。期間は25年度から5年間。 策定業務の委託先は公募で決定。コンサルティング会社「九州経済研究所(KER)」=本社鹿児島市、中元公明代表取締役=と6月中旬に契約した。会合では同社担当者が、島民を対象に8~9月に実施したアンケートやヒアリング調査の結果を報告した。 これによると、外出時の移動手段を「確保できていない(非常に困っている)」と答えた人は4・7%。免許証の保有状況は、もともと保有していない人が11・1%、返納した人が6%だった。5年以内に返納を予定している人と返納するか迷っている人の合計は5%となり、今後、公共交通が必要となる潜在的ニーズがあることが示された。 計画案には、公共交通の空白やタクシー不足を解消するため、二種免許を持たない人が旅客運送に従事できる「自家用有償旅客運送」「日本版ライドシェア」の導入検討を盛り込んだ。 このほか、利用者数を踏まえたバスの小型化や効果的な情報発信、人と物を同時に運ぶ貨客混載の導入検討なども提案した。 意見交換では「広域と各市町村の計画をきちんと線引きし、それぞれの地域の課題に対してどのような取り組みを行うのかを強調できる計画をつくってほしい」との要望があった。 今後は来年1月の第3回会合で計画の素案を提示し、同協議会で審議。2月末の策定を見込んでいる。
奄美の南海日日新聞