【オートレース】獲れるときは獲る!栗原佳祐これからが本当の勝負~浜松・報知新聞社杯
◆第52回報知新聞社杯(12月22日・2日目、浜松オートレース場) 長かった2級車乗車も今シリーズが最後となった。 2年前の2月にデビュー5連勝を記録した未来の大チャンピオン候補は、5R準決勝戦を豪快に押し切って、6連勝ゴールを決めた。ロング連勝で選手生活をスタートさせた栗原佳祐が2級車ラストキャンペーンも白星ラッシュで締めようとしている。 「いやあ、風が強くてタイヤに来てしまいました。でも、朝練習からいい感じだったので自信を持って行きました!」 その朝練習で栗原とマシンを併せた師匠の浅田真吾は「練習でクリにまくられたあ~。自信をなくしました」と苦笑い全開で弟子の進化を認め、喜んでいた。 2番手に付けて、栗原を追いかけた腕達者の滝下隼平も「バサラ(超)速いばい!」と脱帽モードで勝者に寄って来て、その快速を絶賛した。 デビューして間もなく、トップ級レーサーと互角以上のタイムを連発して、快調に1着ゴールを量産した。 しかし、あまりの頭角ぶりに、自身のハンデは一気に重化して、以降はタフな番組構成に翻弄された。時に「もう毎日が大変です…」と弱音が漏れた。 しかし、ロードレース界から高い前評判を引っ提げてこの世界へトラバーユして来た男は、ひたすら練習を重ねて、20メートル前の過酷ハンデに耐久するようになった。 4日間開催の前シリーズはノー黒星のパーフェクトVを決めた。 「獲れる時に獲ることができて、それが本当にうれしかったです。僕はロードの時から惜しいところで勝てないことが多かったんです。“2着の男”だったんです。だからこそ、勝てる時にはきっちり勝てる選手になりたいな、と。それを学んで来ました」 年が明けると、いよいよ1級車を与えられる。ライバルたちとイコールな武器をようやく手にすることになる。 2級車でもがき苦しんでいた時、「1級車に乗り替わってからが本当の勝負ですからね。その時を待っていてください! 必ずやり返しますから!」と強い意を込めて、そう宣言し続けた。 「2級車は今回が最後ですが、優勝戦はそう甘くはない。タイヤをしっかり準備して、あとはやるだけです。チャンスが来ればものにするだけです。獲れる時は獲りますので!」 準決勝戦で人気を集めて3着に敗れたのは佐藤励だった。一つ上の35期生で、この業界では栗原にとって先輩にあたるが、27歳の栗原より年齢は下(24歳)である。 ロード時代から共に戦い、知らぬ関係ではない。 近い将来、今度はオートレースの世界でトップを競い合うであろう存在をあえて意識しないようにしているが、会話の節々から”宿敵”への対抗心はわかりやすいぐらいに見え隠れしている。 「別に僕の相手は選手全員ですからね! でも、チャンピオンは一人だけです。まあ、見ていてください! いずれはっきりさせますからね!」 V戦で誰よりも先にゴール線を通過すれば、連続優勝、通算7連勝となる。2級車最後の“閉店セール”を盛大に開催して、そしていよいよ1級車デビューへ。流れもシナリオも完全に出来上がっている。 栗が一番おいしい秋の季節は過ぎたが、栗原の時代はこれからが本格シーズンだ。もう、マロンしかない。ロマンしかない。 (淡路 哲雄)
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