嘘をつくぐらいだったら「嫌われてもいい」 漫画編集者・林士平がポッドキャスト番組でこぼす本音とヒット作の舞台裏
――番組では、バナーの画像で胸の谷間の線を描くのも厳しいと苦言を呈されていて……。
林:ありましたね。「ジャンプ+」の場合は、7~8カ国言語ぐらいで同時翻訳されているのですが、国によってもNGラインは全然違う。多少のローカライズは仕方がないと思っています。各国に適した表現に微調整しながらも、可能な限り全世界に作品をお届けするのも大事だと思います。
ただ、ローカライズで各国のルールに従うことは許容だとしても、日本において「日本人向け」に展開する表現のラインを他国に手渡すのは違うと思います。もっと議論していければいいんですけれど。
――難しさに直面する一方で、海外市場の可能性は大きそうです。番組ではロンドンの図書館に「ルックバック」が置いてあったと話されていて驚きました。
林:僕も驚いて、思わず写真を撮りました(笑)。売り上げで言うとフランスが大きいので、今度渡仏した際は書店さんだけでなく、図書館にも行ってみようかと思います。
「ダンダダン」は巻数が浅い時にフランスの一等地に広告を打っていただきました。フランスは日本のマンガをたくさん売ろうという意気込みが強くてありがたいです。フランス一カ国だけで、日本国内よりも売り上げている作品もありますよ。印税も日本より高いので、海外からの印税で暮らしている作家さんも増えています。
毎年、漫画の読者が世界中で増えている実感があるので、夢を見られる産業だと思います。いろいろな作品が売れて、お客さんと一緒に育っている。一方で日本の読者にまず受け入れてもらわないと意味がないので、現段階では最初から世界を狙って企画を始めることはありません。
常務にLINEで人事異動?
――林さんは「ジャンプ+」の編集者としてのイメージが強いのですが、この部署への異動は、ご自身で希望されたそうですね。
林:僕はもともと「月刊少年ジャンプ」「ジャンプSQ.」にいたんですけれど、なんだろうなぁ……面白いと思う作品がなかなか会議で通らなくて、自分に限界を感じていたんです。