「峠の釜めし」は、なぜ人気になったのか?
昭和33(1958)年の発売以来、人気を博してきた「峠の釜めし」。益子焼の釜が土産になる上、ごみの減量につながることから国鉄の評判も良かったといいます。いまのSDGsにもつながるような取り組みでもあった陶器製の釜ですが、時代の変化と共にお客様から「釜が重い、持ち運びが大変」という声をいただくことが増えて、平成25(2013)年からは、「峠の釜めし(パルプモールド容器)」(1200円)も併売されています。
【おしながき】 ・味付けご飯(コシヒカリ、醤油、昆布だし) ・鶏肉煮 ・筍煮 ・椎茸煮 ・牛蒡煮 ・うずらの卵 ・グリンピース ・栗甘露煮 ・あんず ・紅生姜 ・香の物
とくに女性のお客様の声に応えて生まれたという「峠の釜めし(パルプモールド容器)」。約4年の開発期間を経て登場し、平成25年の経済産業省のグッドデザイン賞を受賞しました。私も先日、東京・有楽町の「荻野屋 弦」でイートインを楽しみながら「峠の釜めし」を買い求めていく方を観察していましたら、男性は益子焼の釜、女性の方はパルプモールド容器の釜めしと、見事にくっきりと分かれていたのが印象的でした。
東京と信州を結ぶ特急・急行列車には、碓氷峠の機関車と協調運転可能な車両が開発されました。しなの鉄道・坂城駅に保存されている169系電車は、昭和43(1968)年のデビュー。その前年には、髙見澤みねじと田中トモミ姉妹を描いたドラマ『釜めし夫婦』が、フジテレビ系で放映され、峠の釜めしの人気は全国区になっていきました。テレビドラマを見て、この車両で窓から釜めしを買い求めた思い出のある方も、きっといることでしょうね。
ライター望月の駅弁膝栗毛 「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介! 著者:望月崇史昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。 駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/