東海道本線・沼津駅では、なぜ「駅弁」が売れたのか?
大きな鯛の絵と一緒に、伊豆半島の付け根から、駿河湾越しに沼津のまちと富士山が描かれた桃中軒の「鯛めし」(840円)。この掛け紙のデザインは変わりませんが、中身はお客様アンケートなどを取りながら、日々改良が行われていると言います。これまでにも、醤油飯と鯛そぼろを別盛りにした時期もあれば、鯛そぼろがこぼれにくい折箱を採用することもあるなど、“進化をやめない駅弁”の1つと言ってもいいでしょう。
【おしながき】 ・鯛めし(醤油飯、鯛そぼろ) ・白身魚西京焼き ・鶏つくね ・黒はんぺんの磯辺揚げ ・しば漬け ・わさび漬け ・抹茶わらび餅
軽い食感の細かい鯛そぼろが特徴の桃中軒の「鯛めし」。ただ、食感は軽くても、鯛の味はしっかりしています。桃中軒によると、淡白な真鯛に、他の種類の鯛を混ぜることで、味に深みを出していると言います。おかずの黒はんぺんの磯辺揚げ、デザートの抹茶わらび餅と静岡らしさも感じさせます。ちなみにわさび漬けは、鯛めしや黒はんぺんに添えて、お好みで醤油をつけていただくことが推奨されています。
かつては東海道本線を行き交う長距離列車の多くが、機関車が客車を引っ張るタイプの列車でしたが、いま、東海道本線(東京~神戸間)を全線走破する唯一の定期列車で、沼津にも停まる寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」号は、電車による運転となっています。日本で客車列車から電車列車が主流になっていったきっかけも、沼津駅が1つの舞台となりました。
ライター望月の駅弁膝栗毛 「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介! 著者:望月崇史昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。 駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/