知事から「徹底的に調べろ」と指示 元局長の訴え「公益通報と思わず」 兵庫県前副知事が百条委で証言
斎藤元彦・兵庫県知事のパワハラ疑惑などを告発した文書問題で、兵庫県議会の調査特別委員会(百条委員会)は6日、知事の側近だった片山安孝・前副知事(7月末辞職)を初めて証人尋問した。片山氏は3月、告発した元西播磨県民局長の男性(7月7日死亡)を事情聴取。その際、知事に「徹底的に調べてくれ」と指示されたことや聴取時、男性の訴えを「公益通報と思わなかった」ことなどを証言した。 【写真】斎藤元彦・兵庫県知事と並んで座る片山安孝・同県副知事(当時)。同県で51年ぶりに百条委員会の設置が決まった県議会で 男性は3月中旬、県議や報道機関などに、斎藤知事に関するパワハラなど7項目の疑惑を記した告発文書を送付した。片山氏は、斎藤知事の指示で同25日に男性を聴取、公用パソコンを回収した。4月4日、男性は文書内容の一部を公益通報したが、5月7日、県は男性を停職3か月の懲戒処分とした。 片山氏は告発文書の存在が判明した直後のことについて、▽3月21日に知事から文書を見せられ「徹底的に調べてくれ」と指示された▽文書の内容にパワハラが入っていたので、やっかいだと思った▽誰がやったか調べ始めた時、男性の可能性が出てきて、複数が関わっているのではという話になり、公用パソコンのメールを調べることになった―などと経緯を話した。当初、複数での関与を疑い3班に分かれて同時調査をしたが、その後男性の話などから単独でやったと認識した、とした。 男性に事情を聞いた際、きつい言い方だったのではないかと問われると、「(調査した)メールの中に、『クーデターを起こす』『革命』などの表現があった。『斉藤政権』に対してダメージを与え、転覆させる計画、不正な目的があると思った」と回答。片山氏が当時、県の公益通報窓口の委員の1人で、男性が片山氏に対して「文書の内容を精査してほしい」と訴えたことについて質問されると、「公益通報とは思わなかった。文書の作成意図が不正な目的と思っていたので、通報の対象にならないと思っていた」と語った。第三者機関による調査を当時の総務部長が知事に提案したが、「『時間がかかる』と否定されたと聞いた」とも述べた。 3月27日の記者会見で知事が男性について「うそ八百」「公務員失格」と非難する発言をしたことについては「びっくりした。想定外だった」と話した。 回収した公用パソコンについては、「パソコンだけを人事課長に持って帰るよう指示した。パソコンの中身は私はプリントアウトしていない」、「その後、人事当局から私のところへプリントアウトしたものを持ってきたが、すぐにシュレッダーにかけた。300ページにわたるものだった。非常に問題のある記録だなと思った」と説明した。 また、副知事を辞任する前、知事にも辞めるよう5回進言したことについては、「はじめの3回は知事の政治的判断を求めて促した。知事の答えは3回とも『自分には辞めるという選択肢はない。法的におかしいことはしていない』だった。4回目以降は、元西播磨県民局長が亡くなった後で、『この混乱の中で責任を誰かが取らなければ』と、道義的責任を進言した」と振り返った。 片山氏が知事から付せんを投げられていたという証言について聞かれると、事実と認め、「知事から事前に聞いていたことを私が失念してしまっていた。アクリル板に何かが当たった音がして、付せんが落ちたのが見えた」と説明。その前にも同様に付せんが投げられたことがあったことを明らかにしたが、いずれも「私に向かって投げたわけではない」との見解を示した。
ラジオ関西