京都新聞

　関西広域連合が運航を委託するドクターヘリで不適切な整備が行われていた問題で、運航を担うヒラタ学園（神戸市）が再発防止策をまとめた。経営者が予算を抑えるため予備部品の購入を見送っていたことや、安全よりも運航を優先する社内風土に問題があったとし、運航管理体制の刷新や部品の充実などを進めるとしている。 　広域連合は近畿2府4県と徳島、鳥取2県でドクターヘリ8機を運航し、全機の運航をヒラタ学園に委託している。同学園などによると、規程に記載のない方法での整備や他の機体からの部品の流用など30件の問題が確認された。点検のため運航を停止した5月の3日間で、9件の出動要請に応じられなかったという。監査で不正を把握した国土交通省大阪航空局が5月、事業改善命令を出していた。 　ヒラタ学園が6月にまとめた報告書によると、平田勇理事長の利益追求の考え方から、経費削減のため整備部門が要求しても予備部品を購入しなかったことがあったという。また飛行を止めてはいけないという意識から運航を優先する風土や整備部門の人員不足なども問題点として挙げた。 　再発防止策として、航空事業に関する指揮命令や予算の権限を平田理事長から航空事業本部長に移し、不具合が生じた場合に適切な対応が取られているかを監視するオペレーション室を創設するとした。また予備部品の充実やコンプライアンス研修の実施、整備士の待遇改善も進めるとした。 　広域連合は再発防止対策チームを設け、8月に同学園を訪問。予備部品が納入されているかなどを確認した。今後も引き続きチェックするという。ヒラタ学園の担当者は取材に「ご迷惑をおかけした。健全で安全な運航態勢をつくり、信頼される航空事業者として運営していきたい」と述べた。