なんと皮膚を圧迫するだけで「汗のかき方」が変わった…「鍼の科学的解明」への「驚きの第一歩」
皮膚への刺激で内臓が変わる ─自律神経が関わるさまざまな反射
高木の皮膚圧―発汗反射に興味をもったのは、北海道大学の医学生だった佐藤昭夫です。 高木のいうように、皮膚への圧迫が発汗に影響するなら、皮膚への刺激が汗腺を支配する自律神経の活動にも影響を与えるはず。そう考えた彼は、1960年に「皮膚」を刺激して汗腺にいっている「交感神経」の電気活動をとってみたのです。 しかし簡単ではありませんでした。自律神経の電気活動を直接みるというのは、世界でも至難の業といわれていたのです。自律神経線維が運動神経線維に比べて細いうえに、電気活動も運動神経の電気活動の20分の1程度と小さいからです。 佐藤が脊髄から出ている交感神経の活動を初めて記録した際には、その電気活動を認めてくれる人は一人もいませんでした。不安定なうえに活動が小さすぎるのです。留学先のドイツで発明されたばかりの機器を駆使し、皮膚の刺激に伴う交感神経の電気活動を定量可能なまでの美しい形態で示せるようになったのは1960年代後半のことです。 さらに連載記事<意外と多い…1日に分泌される「唾液の量」と「その種類」>では、人間の唾液の仕組みについて詳しく解説しています。
鈴木 郁子(歯学博士・医学博士・日本保健医療大学保健医療学部教授)