“CEO殺し”への懸念が拡大 CEOの身を守るための、各社の要人警護セキュリティ費用は年間いくら?
有名CEOともなると年間セキュリティ費用は数億円に!
12月4日にマンハッタンのホテル前で、米国の大手保険会社ユナイテッドヘルスケアのCEOが射殺されて以来、“CEO殺し”への懸念が拡大している。 【画像】CEOを守るための警護セキュリティに、競合の約3倍の額を出しているのはあの企業! 殺人罪で起訴された容疑者は、ほぼ前科のない26歳の一般男性で、単独犯だった。 米誌「フォーチュン」によれば、事件が起きたとき、同社のCEOはひとりだったという。 事件後、多くの企業が幹部の身を守るための警護セキュリティ対策を再検討している。 近年、S&P500企業全体での幹部の警護セキュリティ費用の年間中央値は、2021年の4万7643ドル(約725万円)から2023年には9万8069ドル(約1493万円)と、ほぼ倍増している。 米誌「フォーチュン」によれば、長者番付に入るようなトップテクノロジー企業のCEOともなると、誘拐や恐喝といった脅威にさらされる可能性も増え、そのセキュリティ費用は毎年数百万ドルにもなる。 企業幹部のセキュリティ費用の増加の背景には、デジタルプラットフォームやソーシャルメディアの普及により、個人情報へのアクセスが容易になったことがある。 それにより、幹部に対する標的型攻撃が過去5年間で急増していると報じられている。 同誌や英紙「オブザーバー」は、テック主要企業が2023年に費やした、CEOを守るためのセキュリティ費用を下記のように見積もっている。
ダントツの1位は……
最も高額なのはメタ社だ。 エグゼクティブらの警護セキュリティ費用総額は2440万ドル(約37億1500万円)でありS&P500企業の最高額で、他の競合企業の約3倍となっている。 このうちマーク・ザッカーバーグと彼の家族の警護に総額2340万ドル(約35億6115万円)が割かれている。 一方、COOのハビエル・オリバンに対するセキュリティ費用は90万ドル(約1億3700万円)強と大きな差がある。 2位はアルファベット(Googleの持株会社)社で、680万ドル(約10億3520万円)のセキュリティ費用は、主にCEOのサンダー・ピチャイの個人警護に充てられている。 3位はアマゾン社で年間270万ドル(約4億1100万円)。 創業者のジェフ・ベゾスのセキュリティに160万ドル(約2億4360万円)、CEOのアンディ・ジャシーには98万ドル(約1億5138万円)強が充てられており、その他の幹部らにも数万ドルが費やされている。 4位はエヌビディア社の250万ドル(約3億8060万円)で、主にCEOのジェンスン・ファンのセキュリティに充てられている。 5位はアップル社とテスラ社でどちらも240万ドル(約3億6540万円)。主にCEOのセキュリティに充てられている。 テスラ社のCEOイーロン・マスクは、警備会社「ファウンデーション・セキュリティー」を所有しており、過去1年間に2件の暗殺未遂があったと公表している。 ちなみに時価総額3.3兆ドルのマイクロソフト社が幹部の警護に費やすセキュリティ費用は、わずか5万8000ドル(約882万円)で、1位のメタ社(時価総額1.6兆ドル)とは大きな開きがあり、セキュリティへのアプローチの違いが顕著になっている。 証券取引委員会(SEC)への提出書類によると、メタ社はこれまでザッカーバーグを守るために多額の金を支払ってきており、2021年のセキュリティ費用は2500万ドル(38億円)以上だったとフォーチュンは述べている。 同誌によれば、これほどの金額を割く理由について、同社はザッカーバーグは「まさにメタ社の代名詞であり、それ故に、会社に対する否定的な感情は直接彼に結びつき、彼への攻撃になることが多いから」であり、また、彼を守ることは「会社の利益のため」でもあると、同社は提出書に記しているという。
Courrier Japon