潮来に私設図書館 オーナー募り本棚「演出」 茨城
茨城県潮来市の水辺を起点とする地域活性化に取り組む一般社団法人「いたこミズベデザイン」は、同市潮来に本棚を貸し出す私設図書館を開業した。幅広い個性的な書籍やCD、DVDが並び、館長を務める出頭(しゅっとう)綾さん(31)は「街の交流の拠点になり、にぎわいを創出できればいい」と期待を膨らませている。 ミズベデザインは同市の前川で、ボード上に立ちパドルでこぎながら水面を進むスポーツ「スタンドアップパドルボード」(SUP)を通じて、潮来の魅力発信に取り組んでいる。一方で、SUPは休日・祝日中心の非日常的な活動のため、さらににぎわいを生み出すには日常的なコミュニティーを生み出す場も必要と検討を重ねてきた。話し合いの結果、「誰もが本棚オーナーになれる私設図書館」の設立を決めた。 地元石材店で長く使用していなかった建物を借りることができ、今年春に内装工事に着手。大きな予算はかけられないため、「ほぼ手作業」(出頭さん)で工事に当たった。趣旨を理解する多くの人たちの協力を受け、25平方メートルの広さを落ち着きある空間に整備した。 木製の本棚も手作り。一つ約30センチ四方の棚が30人分あり、現在は19人がオーナーになっている。1カ月2200円を支払い、公序良俗に反しなければ、自由に本棚を「演出」できる仕組みだ。オーナーになった19人は料理家や市職員などで、経営や心理学、音楽などの幅広い書籍のほか、漫画も並ぶ。本棚脇にはオーナー自身のプロフィルや、本の説明などが書かれたポップが飾られているのも特徴だ。 現在は「プレオープン中」の位置付けのため、開館日は原則水曜日と土日のいずれかと不定期で、読書は館内に限られている。今後オーナーをさらに増やし、本の貸し出し方法も固め、年内の本オープンを目指すという。 図書館の名称は「ネオ図書館」。これまでの図書館の概念を超えた図書館にしたいとの思いを込めた。出頭さんは「本をきっかけに、本を読みに来た人とオーナーや、オーナー同士の緩やかな交流が始まればいいと思っている。コミュニティースペースとして、子どもたちにも寄ってもらい、タイプの違った大人たちがたくさんいることを知ってほしい」と願い込める。 場所は、ろ船遊覧が体験できる「津軽河岸あと広場」近く。開館日・時間などの詳細はインスタグラムで確認。アカウントはneo_toshokan
茨城新聞社