横浜F・マリノスの22歳三好康児は最高傑作なのか?
フロンターレのU-12に加入したのが小学校5年生だった2007年。以来、U-15、U-18と順調にステップアップし、2015年は念願のトップチームへの昇格を果たしたが、特に厚い中盤の選手層に阻まれるかたちで、3年間のプレー時間の合計は955分間にとどまった。 「90分間を通してもちろん守備でも頑張りますけど、攻撃ではどこで力を発揮すればいいのか、という部分に関しては試合を重ねるごとに、自分のなかにおける経験値が上がってきている。ボールを受ければまず前を向いて、前線で仕掛けていく部分には自信をもっているし、それを繰り返していくことが自分の仕事と思っています」 昨シーズンのコンサドーレでは1トップの背後、ダブルシャドーの一角を射止めて26試合に出場した。プレー時間も年間で1776分間に到達。先発としてコンスタントにピッチに立ち、長くプレーしてきた過程で初めてわかったことがあると、嬉しそうに語ったこともある。 フロンターレの下部組織が生み出した最高傑作、とも評価された非凡な攻撃的センスは、グランパスのカウンターを何とか食い止めた直後の前半20分に決まった、FWマルコス・ジュニオールの同点ゴールを導いてもいる。 自陣のペナルティーエリア内で、森保ジャパンにも選出されたDF畠中槙之輔が苦しい体勢から縦パスを送る。センターサークル内で反応した三好は自身の前方に大きなスペースが広がっていることと、前方には味方がジュニオールとFW仲川輝人、相手が3人という状況をすでに把握していた。 「スカウティングで相手が前から来る分、スペースが空くということはチームとして共通理解をもっていた。あの場面で言えば、シン君(畠中)が自分を見てくれていたので上手くボールをもらうことができたし、前の選手たちも自分の動きを見ていたので」 ワンタッチでボールを前へ流し、そのまま勢いよく三好が前へ出る。下がりながら対応するグランパス守備陣を翻弄するように、隙間を通すスルーパスを一閃。マリノスで群を抜くスピードを誇る仲川が右側を抜け出し先へ、寸分狂わず到達したボールが中央のジュニオールへ折り返された。 「テルさん(仲川)がスピードを落とさないところへのパス、というのは練習の部分やここまでの試合でもイメージを共有できているので、そこを上手く合わせられたゴールだったと思います」 前線の3人による、あうんのコンビネーションで生み出した同点弾に手応えをのぞかせた三好へ、仲川も「最高のパスをくれた」と賛辞を惜しまなかった。ただ、画竜点睛を欠くかたちとなった終了直前のシュートに関しては、三好自身が昨シーズンから掲げてきた課題でもあった。 「もうひとつ怖い選手になるためには、ゴールを奪わないと。アシストだけでは上にはいけないと思うし、フィニッシュの回数や精度を上げていくことが、自分の成長につながっていくので」 昨シーズンは3ゴールをあげたが、初得点は9月29日のサガン鳥栖戦まで待たなければいけなかった。今シーズンはガンバ大阪との開幕戦で、ペナルティーエリアの外から目の覚めるようなミドルシュートを叩き込むも、第2節以降は無得点が続いている。