「小学校教諭の死亡は長時間勤務が原因」遺族が福岡市を提訴 1億3750万円あまりの損害賠償を請求
福岡市の小学校に勤務していた当時40歳の男性教諭が病死したのは、過重な長時間勤務によるものだとして、男性の遺族が福岡市に1億3750万円あまりの損害賠償を求める訴えを起こしました。 【写真で見る】病死した男性教諭の遺族(訴訟会見)
教務主任に加え担任代行も務める
死亡した2021年当時、男性教諭は、教務主任としての業務に加え、病休中や産休中の教員に代わり、担任代行も務めていました。
男性教諭の死亡「公務災害」と認定
男性教諭の業務について、地方公務員災害補償基金の福岡市支部長は、発症前5週間の週あたりの男性の時間外勤務時間を22時間2分と算定。「平均20時間を超えており過重な勤務に従事したものと認められる」などとして、今年5月、急性心臓病の発症と勤務の相当因果関係を認めています。
遺族「福岡市は安全配慮義務を怠った」
男性教諭の遺族は、「死亡の原因となった急性心臓病を発症したのは、心身ともに過重な長時間勤務によるもので、福岡市は安全配慮義務を怠った」などとして、市に対し、慰謝料や男性教諭が生涯得るはずだった賃金などあわせて1億3750万円あまりの損害賠償を求めています。
福岡市「請求の棄却」求める
21日、福岡地裁で行われた第1回口頭弁論で、福岡市は、請求の棄却を求めました。理由については「今後の裁判で明らかにしていく」としています。
男性教諭の妻「現状認めて、対策進むこと願う」
第1回口頭弁論の後、会見した男性教諭の妻(40代)は、「夫が亡くなった事実と、今でも教員が自らの健康や大切な人と過ごす時間を犠牲にして必死で学校を支えている現状を認め市、更には国としての対策が進むことを願って提訴しました」と話しました。
福岡市教育委員会「痛ましく残念」
福岡市教育委員会は、「教育現場で子供の教育に携わる大事な教員を失ったことについて大変痛ましく残念なことだと思っています。今後とも教員の負担軽減の取り組みをいっそう進めて参ります」コメントしています。
男性の勤務状況(訴状によると)
2021年 11月 8日 6:03~21:16 11月 9日 7:21~18:54 11月10日 7:30~22:17 11月11日 7:43~22:01 23:00ごろ急性心臓病を発症し死亡 連日の長時間勤務が続き、他の教員も男性教諭の顔色が悪いことを心配し、11月10日には、「毎日大変だね。忙しかろー、疲れてないねー」と問いかけた。男性教諭は「何とかやっています。でも、なかなか疲れがとれないのですよー」と答え、その夜就学時健診資料を綴じ合わせる作業中、「きつい」と他の教員にも述べていた。