バフェット氏愛好の商社株、日本株暴落で割安度増す-投資好機到来か
(ブルームバーグ): 米国の著名投資家ウォーレン・バフェット氏が投資する日本の5大商社株は、記録的な日本株暴落の影響でバリュエーションが大きく下がり、一段の保有比率引き上げを示唆していた同氏にとって買い増す好機となっている。
「投資の神様」「オマハの賢人」と呼ばれるバフェット氏でも、保有する5大商社株の資産価値は株価が暴落した1日以降の3営業日で約9800億円目減りした。その後の反発で、7日時点では損失が5500億円にまで縮小している。
びとうファイナンシャルサービスの尾藤峰男代表取締役は商社株の現状について、「今は割安になって買えるようなレンジになった」と語った。尾藤氏は、バフェット氏率いる投資・保険会社のバークシャー・ハサウェイがネブラスカ州オマハで毎年5月ごろに開く年次株主総会に2014年から出席している。
丸紅と三井物産は、日本株が暴落した1日以降の3営業日で31%安と5大商社株の中で最も下げ、東証株価指数(TOPIX)の20%安を大きくアンダーパフォームした。米国の景気不安などから株安と同時に為替市場では7カ月ぶりの水準まで円高が進み、海外の収益減少懸念から商社株は市場全体よりもさらに売り込まれた。
ブルームバーグ・コンセンサスの向こう12カ月予想を基にした丸紅と三井物の株価収益率(PER)は7日時点でそれぞれ7.5倍、9.1倍。丸紅は、バフェット氏が日本株投資に前向きな姿勢を示し、5大商社株の保有比率引き上げなどが判明した昨年4-6月期並みの低水準だ。T&Dアセットマネジメントの浪岡宏チーフ・ストラテジストは「バフェット氏はこれまでバリュー投資で成功してきた」と言う。
ブルームバーグが集計したデーターによると、バークシャーは丸紅と三井物のほか、伊藤忠商事、住友商事、三菱商事の株式を平均で約8.2%保有する。20年8月に初めてバークシャーが5大商社株を5%以上取得したことが明らかになり、9.9%まで買い増す可能性を示唆していた。