【フレイル予防】バランストレーニングで転倒を防ぐには? 理学療法士が解説
セルフチェックとトレーニングの方法
編集部: 自分のバランス能力を手軽に知る方法はありますか? 白土さん: バランスチェックの3つの方法をご紹介します。まずは、「過去1年間に転倒した経験があるかどうか」を思い出してください。1回でも経験がある場合は、バランス能力が低下しているサインかもしれません。 編集部: ほかの方法についても教えてください。 白土さん: 次に、7項目の「ロコチェック」をご紹介します。 ①片足立ちで靴下がはけない ②家の中でつまずいたりすべったりする ③階段を上がるのに手すりが必要である ④家のやや重い仕事が困難である(掃除機の使用、布団の上げ下ろしなど) ⑤2kg程度の買い物をして持ち帰るのが困難である(1リットルの牛乳パック2個程度) ⑥15分くらい続けて歩くことができない ⑦横断歩道を青信号で渡りきれない 上記7つの質問に「はい」と答えた数が多いほど、バランス能力が低下している可能性があります。 編集部: 最後のチェック方法はどのようなものですか? 白土さん: 最後のチェック方法は「開眼片足立ち」です。素足で両手を腰に当て、左右両方の片足立ち(片足を5cm程度前方にあげる)をおこないます。60秒以上の片足立ちが難しい場合は、バランス能力がやや低下している可能性があります。 また、13秒以上に満たない場合は、バランス能力が大きく低下している可能性があり、バランスを鍛える取り組みを継続的におこなうことをおすすめします。 編集部: バランスを鍛えるためにはどのようなトレーニング方法がありますか? 白土さん: バランスを鍛えるために有効な3つの方法を紹介します。まずは、「タンデム」という運動です。これは、片足のつま先と反対の足の踵を一直線になるように合わせてバランスを保つ運動です。10秒間キープし、足の前後を入れ替えながら、合計4回おこなってみましょう。 編集部: 2つ目のトレーニングはどのようなものですか? 白土さん: 次に、「かかと上げ」の運動です。立位で両足のかかとを出来るだけ高く上げて、10秒間その位置をキープしてください。バランスを崩しそうになる場合は壁や椅子を触りながらおこなっても問題ありません。合計3回おこなってみてください。 編集部: 最後のトレーニングについても教えてください。 白土さん: 最後に「片足ステップ(フロントランジ)」の運動です。両手を横に、肩幅に足を開いて立ちましょう。次に、両手を腰に置きながら、片足を一歩前に出します。両足を90度の角度まで曲げてキープします。 このとき、前に出した足の膝がつま先より前に出ないように注意してください。前に出した足に体重をかけ、後ろの足でバランスを保ちます。 前に出した足のつま先で地面を押し離し、スタートの体勢に戻る。これで1回となります。連続10回おこない、反対の足でも同様におこないます。 編集部: バランスを鍛える上で、より効果を高めるためのポイントはありますか? 白土さん: 「習慣化」と「難易度」の2つがポイントです。バランストレーニングを含めてあらゆる運動は、習慣化することでその効果を発揮します。そのため最低でも週1回は、トレーニングをおこなうことをおすすめします。 また、あまりにも簡単すぎるバランストレーニングは、その効果が乏しくなることがあります。可能な範囲で、少し難しいと感じる程度に難易度を調整することをおすすめします。