『インサイド・ヘッド2』新キャラたちの性別はどう決まった? 監督&プロデューサーに聞く
■『インサイド・ヘッド3』の可能性は?
ニールセン:今作では「ライリーズ・クルー」というチームを結成しました。スタジオの元幹部でインクルージョン・ストラテジー担当の副社長だったブリッタ・ウィルソンがつながりを持っていたボーイズ&ガールズ・クラブ・アメリカという団体を通して、アメリカ全土の13歳から16歳の少女たちに呼びかけて、協力してくれる人を募りました。彼女たちとは、制作中の3年の間、4ヵ月に一度くらいのペースで、映画の各バージョンを自宅で見てもらってから、Zoomでフィードバックをもらうというやりとりをしました。ストーリーボードの段階から見てもらい、物語に共感できるか、現代の女の子同士のやり取りとして自然か、会話での言葉遣いはどうかっていう部分について意見をもらったんです。 マン:彼女たちに初めて対面で会ったのは、今年の6月のロサンゼルスでのプレミアイベントでのことでしたが、そこで彼女たちはセレブリティーのように扱われていました。実際、そう扱われるにふさわしいくらいこの作品の完成には彼女たちの協力が重要でした。 ニールセン:私たちは、伝える物語の真正性のために必死に努力するようにしています。私やマン監督自身は、ライリーのように13歳でもなければ女性でもありませんから、自分の感覚としてその気持ちが分かる人たちに話を聞くのはとても大事なことでした。 マン:それに、全国のあらゆるエリアの少女たちに聞くっていうのもね。ライリーはサンフランシスコのベイエリアの学校に通っていますから、当然ベイエリアの少女たちにも協力してもらいましたが、他の地域の少女にとっても自分の物語と思えることが大事なんです。 ――ピート・ドクターがCCOに就任してからピクサーではさまざまな変化があったことが窺えます。これまでスポットの当てられなかった社員たちを取り上げる、「Disney+(ディズニープラス)」配信のドキュメンタリー『ピクサーの舞台裏』や、さまざまな新しい監督たちによる短編シリーズ『スパークス 奇跡の瞬間』や長編映画の数々がその良い例だと思います。今のピクサーで感じる最も大きな変化はどんなものでしょうか。 ニールセン:そうですね。最大の変化は長編映画へもう一度集中し直すという方針になったことでしょうか。CCOのピート自身もそうですし、スタジオ内のあらゆるクリエイティブの情熱を全て長編映画へ注ぐようにしようという方針です。 すでにアナウンスされているものとそうでないものとがありますが、スタジオでは現在何本もの「インクレディブルな(驚くべき)」新作たちが制作の段階にあります。2年に3本ほどのペースで、オリジナル作品や続編を含む多くの作品を世に送り出していくために、たくさんの監督たちが待機している状態ですよ。今後数年間で公開されることになっているラインナップを眺めるだけでもとってもワクワクします。 マン:「D23 expo」では毎回すごくエキサイティングなニュースが発表されますが、8月開催の「D23」(現地時間9日~11日に米開催)でも面白い発表が聞けると思いますよ。まあ、僕らはその頃には休暇に入っちゃいますがね!(笑) ――ちなみに『インサイド・ヘッド3』やミニシリーズの予定はあるのでしょうか。 ニールセン:『インサイド・ヘッド2』の制作で忙しくて、終わった後の休暇のこと以外を考える暇はなかったけど、将来何が起きるかは誰にも分からないよね。感情の世界の中でもまだ深掘りできていない感情はたくさんあるし、今作では感情の待機室があるということが明らかになったわけで、あれ以外にどんな感情がいるかは誰も知らない。まだまだ冒険しがいのある世界はたくさんあるし、なんといってもライリーはまだ13歳だからね。現時点で3作目の計画はないけど、どんなアイデアでもウェルカムです。 (取材・文:山本恭輔 写真:阿部桜子) アニメ映画『インサイド・ヘッド2』は全国公開中。