松阪工・下谷君ら製作、市に提案へ 水洗可の災害時用トイレ 三重・松阪
機械科5人、10月から研究
三重県松阪市殿町の県立松阪工業高校機械科(宮本直樹科長、120人)の3年生・下谷勇人君ら5人は災害時に使える水洗対応可能なトイレの製作に取り組んでいる。市内の公共施設などで整備が進むマンホールトイレに接続して使ってもらう。生徒たちは有事の際に安心して使ってもらえるものにしたいと作業。完成したら市に提案したいと考えている。
岩﨑君の父が被災、阪神大震災のこと聞く
製作しているのはいずれも浜辺恒彦教諭(51)が指導する3年生で下谷君と、幸丸颯汰君、浅井竣介君、岩﨑泰知君、野村拓都君の5人。製作のきっかけは、岩﨑君の父親(57)が大阪府在住時の1995(平成7)年1月の阪神淡路大震災の被災者で、岩﨑君が当時の話を聞いていたこと。さらに市販の災害時用トイレは約6万円と高額な上、排せつ物がビニール系シートを伝って落ちていくため、衛生的によくないと感じたため課題研究の一環として昨年10月から研究を始めた。 製作するトイレは便座が「U」字型のベンチを置いて使うもので、縦横高さがいずれも40センチ。広く使用されている塩化ビニール素材の配水管を加工した。実際は高さ約180センチ、縦横約90センチの1人用テントの中で使う。費用は約2万円の見込み。 製作に当たっては学校やそれぞれの自宅のトイレなどを研究。水洗の仕組みも研究し、地球の自転を利用し左回りを採用。水流を利用し、節水しつつ、しっかりと流れる設計にした。また、コストを抑えるため配水管は既製品を使用して削ったり、別の管を組み合わせたりして自分たちのイメージを形にしている。 下谷君は「有事の際に被災者が安心して使ってもらえる作品ができるように頑張りたい」、幸丸君は「いつか起きる災害の用意をしたいと入学した。災害時は衛生面が大切となってくると考えているので、わずかでもいい環境になるように貢献したい」、浅井君は「被災された人が発生した時はせめて、トイレぐらいは安心できる場所にしてもらえるよう頑張りたい。今春から自衛隊に入隊するので、今回学んだことを生かしたい」、岩﨑君は「父の話などを聞いているので、災害時のトイレの確保の大切さは分かっているつもりなので、しっかりと役に立てるものをつくりたい」、浜辺教諭は「今回の製作はこれからの生徒たちの物作りに大きく役に立つものだと感じているので、しっかりと完成できるように指導をしていきたい」とそれぞれ話した。野村君は欠席だった。 20日の校内の発表会に合わせて完成を目指している。