阪神・才木浩人が14年の時を経て、母・久子さんへ届けた福岡での1勝
【球界ここだけの話】2010年。当時小学6年生だった阪神・才木浩人投手の姿は福岡ヤフージャパンドーム(現みずほペイペイドーム)の観客席にあった。悔しい思いを募らせながら、野球の試合をみていた少年は14年がたった2024年6月16日のソフトバンク戦でチームの勝ち頭として、プロ入り後初の博多のマウンドに立った。 【写真】父・昭義さんと母・久子さんへ2泊3日の博多旅行をプレゼント、観客席で応援した 強力鷹打線を圧倒して7回5安打1失点という堂々の内容と結果で8勝目をつかみ、父の日の勝利に「よかったです」と胸を張った孝行息子。この日、2泊3日の博多旅行をプレゼントされ、試合観戦に招待された父・昭義さんと母・久子さんも、スタンドで大喜びだった。 2010年に行われたオリックス・バファローズジュニアチームの最終選考で才木は惜しくもメンバー入りを逃したが、選考を通過した同級生の応援のために母・久子さんと夜行バスを利用して博多入り。2人で同球場を訪れて仲間の勝利のために声援を送った。だが、オリックスジュニアは福岡ソフトバンクホークスジュニアチームに敗れ、才木少年も同級生の喜ぶ姿をみられずに新幹線で帰路に就いた。 時がたち、観客席から応援することしかできなかった25歳は虎の先発陣を引っ張る存在に成長し、初めてそろってみずほペイペイドームを訪れた父母に白星を届けた。 ストイックな才木はチーム宿舎で集中力を高めるために3人で顔を合わせることはできなかったが、LINEで「楽しんでください」と短い言葉に日頃の感謝の思いを込めていた。タテジマのエースへと駆け上がっている若虎にとって、思い出深い1勝になっただろう。(新里公章)