富岡の影で「産業として最終段階」 日本の製糸業の現状は?
「大量生産・低コストでやっていくのが普通の製糸工場の考え方。うちも、かつてはそうでした。しかし、もうそれでは輸入物と勝負にならない。平成に入ってからは、少数でも多様なニーズに応える形に変えてきました」 こうした方向転換が、価値観が多様化した現代で功を奏したのだろう。「そうやってこの仕事にしがみついても、収益ということで言えば正直あまり良くないですよ。15年ほど前に岡谷にあったもう一社が廃業した時、『これはやめられなくなったな』と思ったのも事実(笑)。だから、博物館と一緒になって歴史的文化事業としてもやっていくというのは、非常に良い形だと思います」 (文・写真:内村コースケ/フォトジャーナリスト)