老後の収入を月3万円増やしたいのですが、どれくらい「受給を遅らせる」と3万円増やせますか?
定年退職後は収入源の多くが年金に限られてしまい、貯蓄や年金を頼りに生活しなければなりません。そこで、老後の生活を安定させるために、収入源となる年金を増やしたいと考える人も多いのではないでしょうか。 年金を増やす方法はいくつかありますが、効率のよい方法の一つに「年金の繰下げ受給」が挙げられます。年金の受取開始年齢を遅らせた期間に応じて、一定額の増額率を適用して年金額を増やせる方法です。 本記事では、もらえる年金額がどのくらいなのか、年金の繰下げ受給について解説します。その他にも記事内では、繰下げ受給以外に年金受給額を増やす方法もまとめているので、参考にしてみてください。 ▼夫婦2人の老後、「生活費」はいくら必要? 年金額の平均をもとに必要な貯蓄額も解説
もらえる年金の金額はどのくらい?
公的年金には老齢基礎年金と老齢厚生年金の2種類があり、令和6年度の年金額は図表1のとおりです。 【図表1】
※日本年金機構「令和6年4月分からの年金額等について」より筆者作成 老齢基礎年金は、受給資格期間(保険料納付済期間と保険料免除期間などの合算期間)が10年以上ある場合に受け取れ、40年間納付された方は満額の6万8000円を受け取れます。 老齢基礎年金の受給権があり、かつ厚生年金の加入期間がある人は、老齢基礎年金に加えて老齢厚生年金の受け取りが可能です。ただし、老齢厚生年金は一律ではなく、厚生年金に加入していた期間や報酬額によって決まるため、受給額に個人差があります。
繰下げ受給で増額した年金を受け取れる
年金を受け取れる年齢は原則として65歳からですが、66歳以降75歳までに繰下げれば1ヶ月につき0.7%の増額率が適用します。「0.7%×繰下げ期間」に応じて増額率が決まり、一度適用されたら生涯にわたって変更されません。老齢基礎年金と老齢厚生年金のそれぞれの受給権を有している場合は、どちらか一方のみを繰下げて受け取ることも可能です。 増額率は図表2のとおりで、75歳まで繰下げた場合は84.0%まで年金額を増やせます。 【図表2】