友人に口止め依頼 ドン・ファン殺害事件、元妻公判で検察
「紀州のドン・ファン」と呼ばれた和歌山県田辺市の資産家・野崎幸助さん(当時77歳)を殺害したとして、殺人罪などに問われている元妻の須藤早貴被告(28)の第2回公判は13日、和歌山地裁であり、午後から証人尋問が始まった。 【【詳報】ドン・ファン元妻が無罪主張 和歌山地裁で殺害事件の公判開始の記事はこちら】 起訴状や検察側の冒頭陳述によると、須藤被告は2018年5月24日午後4時50分ごろから8時ごろの間に、殺意を持って、野崎さんに致死量の覚醒剤を摂取させ、急性覚醒剤中毒で殺害したとされる。須藤被告は起訴内容を否認し、弁護側は無罪を主張している。 13日の証人は県警の警察官2人で、事件当時、田辺署員として一緒に野崎さん方に駆け付けていた。検察官の質問に対して2人は、遺体の体温が約39度と高く、薬物中毒の可能性を考えたが、注射痕はなかったことなどを説明した。うち1人は「(須藤被告が)ずっと携帯電話を触ってゲームをしていたのが記憶に残っている」と述べた。 一方、弁護士は「室内が荒らされた様子は『なかった』と報告書に書いているのに、なぜ薬物を使った痕跡が『なかった』と書いていないのか」と質問した。2人は「必要ないから書かなかった」「痕跡がなかったという情報は(捜査員で)共有していた」という趣旨の説明をした。 13日午前は検察側の証拠調べがあった。野崎さんが亡くなった後、須藤被告は友人に対し、記者の取材に応じないよう求めたり、警察にLINE(ライン)などのデータを提供しないよう求めたりしていたと検察官が述べた。 検察官は、ラインのやりとりとする一部を読み上げた。須藤被告が友人に「(野崎さんが)『死にたい』と言ってたから自殺か事故だと思う」「完全犯罪とか言われるんだろうな」などのメッセージを送っていたという。ニュースで結婚を知った友人から問われて「財産もらうつもりだった。欲のせいで足元すくわれた」というメッセージも送っていたと説明した。
紀伊民報