池松壮亮が撮影後も水上恒司を心配「水上くん、大丈夫かな」
池松壮亮が11月9日、都内で開催された映画「本心」公開記念舞台あいさつに、三吉彩花、水上恒司、妻夫木聡、田中裕子、石井裕也監督と共に登壇した。 【写真】撮影を振り返る池松壮亮 ■もしかしたら近い未来にやってくるかもしれない世界を描く問題作 映画「本心」は、平野啓一郎の同名小説を映画化したもので、テクノロジーが進化する時代をさまよう人間の本質を描くヒューマンミステリー。今と地続きにある近い将来、“自由死”を望んだ母の“本心”を知ろうとした青年が、進化した時代に迷う姿を映し出す。 ■登壇した池松が印象的なシーンの撮影秘話を告白 池松は、主人公の朔也がバーチャル・フィギュアの母と出会うシーンについて「自分自身も強烈に残っているシーンでした。これから我々が、もしかしたら未来で遭遇するシチュエーションかもしれないし…。自分自身が母を作り上げてしまったこと、そして亡くなった最愛の人に会えた朔也の純粋過ぎる喜び、『目の前の母が本当の母のようだけど、母ではないのかもしれない、いや母ではない』という複雑さなど、いろいろなものが混ざって心が震えるような感覚が残っています」と語る。 また、三吉演じる三好とのレストランでのダンスシーンについては「三好が安い一張羅のドレスを着て、朔也も安い一張羅のスーツで、(互いが)触れられないダンス。あれは原作にはないですけど、非常に石井映画的な幸福なシーンで、ずっと泣きそうだったのを覚えています」と振り返った。 ■池松壮亮が水上恒司の役の向き合い方を絶賛 ほか、朔也の幼なじみ・岸谷を演じた水上について「クライマックスの対峙するシーンだけじゃなく、一貫して本当に素晴らしかったです。岸谷には僕も思い入れがあり過ぎて、今、特殊詐欺とかのニュースを聞くたびに岸谷のことを思い出してしまう。『水上くん、大丈夫かな』って思ってる」と打ち明け、爆笑をさらう。 そして、「ああいう破滅と本当に紙一重にある時代に追い込まれた若者たちを、ある包容力を持って水上くんが真っすぐ演じられているのが非常に見ていて気持ち良くて、余計な気を使ったりとかが必要なかった。真っすぐに向き合えて、素晴らしいなと思いました」と絶賛していた。 ◆取材・文=原田健 ■映画「本心」あらすじ 工場で働く青年・朔也(池松)は、同居する母(田中)から仕事中に電話が入り、「帰ったら大切な話をしたい」と告げられる。帰宅を急ぐ朔也は、途中豪雨で氾濫する川べりに母が立っているのを目撃。助けようと飛び込むも重傷を負い、1年もの間昏睡状態に陥ってしまう。 目が覚めた時は母は亡くなっており、生前“自由死”を選択していたと聞かされる。退院した時は、ロボット化の波で勤務先は閉鎖。唯一の家族を失くした朔也は、激変した世界に戸惑いながらも幼なじみの岸谷の紹介で、「リアル・アバター」の仕事を始める。 そんな中、仮想空間上に任意の“人間”を作る「バーチャル・フィギュア」という技術を知った朔也は、「母は何を伝えたかったのか?どうして死を望んでいたのか?」を解消したい気持ちから、なけなしの貯金を費やして開発者の野崎(妻夫木)に「母を作ってほしい」と依頼する。