女性&ノンバイナリーが対象のテック業界就職フェアに男性が殺到「チャンスを奪わないで」参加者からは不満の声
性差による不平等をなくすべく、さまざまな業種でジェンダーギャップ解消が叫ばれるなか、STEM領域(科学、技術、工学、数学の分野総称)におけるバイアスや機会の格差にはいまだに多くの課題が残っている。アメリカでは、女性とノンバイナリーを対象にしたテック業界就職フェアに男性参加者が殺到したことで「業界の深刻な実態が改めて浮き彫りになった」と物議を醸した。
議論の的となったのは、フロリダ州・オーランドで開催された「グレース ホッパー セレブレーション」。女性とノンバイナリーをメインに対象とした世界最大級のテック業界就職フェアで、有名企業とのコネクションを作る絶好のチャンスとして知られている。会場は多くの参加者で盛況した一方、SNSではシスジェンダー(生まれ持った性別と性自認が一致している人)と思われる男性たちが履歴書片手にリクルーターに群がる様子が動画で拡散された。
なかには「列に並んでいたら男性に割り込まれた」という女性の投稿もあり、「テック業界で就職を目指す女性とノンバイナリーを支援する、という本来のコンセプトからかけ離れている」「これ以上女性から機会を奪わないで」と批判が寄せられた。これに対し、本フェアを主催する非営利団体「AnitaB」チーフ インパクト オフィサーのカレン・ホワイトは「予想をはるかに上回る数のシスジェンダー男性が参加していることが明らかになった」「申し込みの際に性別について嘘をついた人もいるだろう。そのような行為は今すぐやめてほしい」と呼びかけた。
海外の報道によると、男性が「グレース ホッパー セレブレーション」に参加すること自体は禁止されていないという。しかし、女性参加者からは「テック業界でキャリアアップを目指す女性に対し安全な空間を提供することに失敗した」と、運営側に変化を求める声も上がった。世界的に影響力のあるフェアがこのような事態にどう対応するのか、注目が集まっている。