<プロボクシング世界戦>王者・井上が、V1戦での美しいKO勝利を宣言
WBC世界ライトフライ級王者の井上尚弥(21歳、大橋ジム)は、9月5日、代々木体育館でタイの同級13位のサマートレック・ゴーキャットジム(29歳)と初防衛戦を行うが、その試合に向けての公開スパーリングが27日、横浜の大橋ジムで行われた。この試合を最後にフライ級へ転級する井上にとっての最大の敵は減量。今回は、栄養士の指導を受けて、鉄分やアミノ酸などのサプリメントを有効利用した新減量方法を取り入れてコンディションは万全。井上は「綺麗に倒す」とKO防衛を宣言した。 ◇ ◇ 井上にいつもの試合前のゲッソリ感がなかった。これまで試合が近づくと、10キロを超える過酷な減量の影響で青白くなってしまう顔色も悪くはない。理由は、栄養士のアドバイスを受けてのサプリメントの利用と食事メニューの改善。揚げ物など油分を多く含んだ食材を排除し、大好きな焼肉屋に行っても「頼むメニューが変わった。脂身の多いカルビは注文しません」という。厳しい減量のため、これまでは水分と共に失われてきた鉄分などの栄養素をサプリメントで補っている。 「サプリメントは、まだ僕の年齢では早い気がして、これまで使ったことはなかったけれど、利用するようになって調子がいい。少しだけど食べながら減量に入ることができているのも大きいと思う」と井上。サプリメントの摂取は、朝昼晩の食後と練習の前後の一日5回。エネルギーに変わる各種アミノ酸やミネラルなどをバランスよく摂取している。 父であり専属トレーナーの井上真吾氏も、「前回は減量に入る段階でインフルエンザにかかるなどして体力を失ったが、試合中に足が吊ったのは栄養不足もあったんだと思う。食べて動けるのが、いらないストレスがなくなり、練習に集中できている」と、新減量方法の効果を認める。日本最速記録となるプロ6戦目で衝撃的なタイトル奪取をした4月6日のアドリアン・エルナンデス(メキシコ)戦では、試合途中に足が吊った。減量の影響による栄養素不足が、その原因のひとつと考えられていたが、WBCルールでは、ラウンド間のインターバルで、水以外のスポーツ飲料などの摂取を認めているため、今回は、試合中もアミノ酸の一種などのサプリメント飲料を利用する予定でいる。 実際、弟の拓真と行った、2ラウンドのスパーリングでは、疲労による影響は、それほど見えずキレと反応は十分にあった。