中堅・ベテラン医師の「総合的な診察能力」習得を支援、地方勤務も促し偏在改善へ…厚労省
厚生労働省は2025年度、中堅以降の医師に総合的な診療能力を習得してもらうための学び直しの支援事業を始める方針を固めた。幅広い病気を診られる医師を増やし、医師不足が深刻な地方での勤務を促すことで、医師偏在の改善につなげる考えだ。
総合的な診療能力を持つ医師は様々な症状の患者を診察し、必要に応じて専門医を紹介する。高血圧や骨粗しょう症、白内障などいくつもの持病を抱える高齢者の割合が高い地方では特にニーズが高まっている。
支援事業の対象は、各診療科で働く中堅やベテランの医師ら。大学病院や大病院の勤務医らには、開業や定年後を見据えて総合的な診療能力を持つことが強みになる点をアピールするなど、それぞれの事情を踏まえ学び直しを促す。
希望者には、総合診療の経験豊富な医師らから、オンラインなどを通じて多くの領域の知識や診療のポイントを学ぶ研修の機会を提供する。指導的な立場の医師の助言を得ながら、総合診療の経験を積める中小病院や診療所も紹介する。病院団体や学会などが実務にあたる。
国内では専門医の認定を担う日本専門医機構が総合診療専門医の育成を進めてきた。ただ、研修や試験を経て認定されるのは若手を中心に年数百人にとどまる。
厚労省は、都市部の大病院で特定の臓器や病気を診療してきた専門医が、学び直しにより幅広い領域を診られるようになれば、地方で勤務しやすくなるとみる。支援事業で一定の技能を習得した医師らに、医師不足が深刻な地域の医療機関を紹介することも検討している。