タイで中国産フィギュア爆売れの裏に“世界的アイドル”の存在が…親日国タイのサブカル市場から日本のフィギュアが“消えた”理由
「使ってみたら、悪くなかった」中国産商品が流行したワケ
中国では数年前から、国内市場の限界を感じて、国外で商品を売るための国際物流や国際決済を支えるベンチャー企業が登場しています。それによって、中国のECサイトを利用すれば、海外からでも商品を購入でき、購入した商品が素早く確実に届きます。そして、海外から支払われた外貨は、人民元となって企業の懐に入るようになっています。 海外から中国の商品を買うインフラが整いつつある状況で、新型コロナウイルスが流行。世界中で外出制限となり、ECサイトの利用率が各国で上昇し、結果としてタイを含む世界各地で、家にいながら中国から商品を買い寄せる習慣ができたのです。それが、中国産商品の流行を後押ししています。 「使ってみたら、案外中国製も悪くなかった」。そう体感したタイ人が口コミで拡散することで、中国製品や中国企業のイメージも改善していきます。中国発のドリンクチェーンもタイに展開してイメージアップに貢献してますし。
タイ発の“POP MARTブーム”は周辺国にも広がっていく?
情熱あるタイ人は、次に売れるかわいいフィギュア商材を買おうと、多くのバイヤーが集う中国最大の卸売市場の「浙江省義烏(イーウー)」にも訪問して、タイで販売するために商品をまとめ買いする姿もよく見かけるようになったと報じられています。すっかり中国の潮玩の虜になっているのです。 タイは東南アジアのハブとして知られていますが、モノやトレンドの流れでも影響を与えるとのことで、マレーシアやベトナムなど周辺国にもタイ発の“POP MARTブーム”が広がっていくだろうと言われています。 デザイナーがキャラデザインを担当したり、有名キャラとのコラボをする潮玩などは、新商品を出しやすい。一方で、アニメなど原作ベースのフィギュアの場合は、勝手にキャラを増やすことはできず、新商品のリリースに時間がかかりがちです。中国でアニメゲームグッズのショップが続々とできましたが、中国アニメや中国ゲーム原作のフィギュアは新商品をリリースするペースが遅く、ファンに飽きられる、という現象が起きてます。 POP MARTなどのトイメーカーは早いペースで新商品を出すので、今後もタイ人のファンの心を掴んでいきそうです。それによって、日本のフィギュアへの情熱がなくなっていき、連動してタイ人の日本アニメへの情熱も減ってしまうのではないか。個人的には、そんな気がしてなりません。 写真=山谷剛史
山谷 剛史