天皇賞・春は「ヒモ荒れ」注意 穴党記者が推奨する好配当の使者はスタミナ秘める2頭
今回、昇級初戦でいきなりGI挑戦というのはハードルが高いように思えますが、そこは長距離適性を見越してのもの。事実、管理する寺島良調教師は以前、『順調なら、菊花賞(京都・芝3000m)出走も考えていたほど』と言って、同馬の心肺機能の高さを評価していました。 父ゴールドアクターは菊花賞3着馬で、天皇賞・春にも2度出走。GI有馬記念(中山・芝2500m)では8番人気で勝利して波乱を演出しました。そんな血統面も魅力です。 中間の仕上がりは良好。寺島調教師も『前走は長い距離のレースでいい内容でした。夏場がいい馬で、毛ヅヤがよくなっています』と、体調アップをアピールしていました。まだまだ伸び盛りですし、前走の勢いそのままに、大舞台での一発があっても不思議ではありません」 奥田記者が注目するもう1頭は、マテンロウレオ(牡5歳)だ。 「こちらも、隠れた長距離適性を持つ1頭。近走は中距離を中心に使われていますが、昨年の天皇賞・春5着という実績が光ります。 昨年のレースは、連覇を狙うタイトルホルダーを筆頭に、前年の菊花賞を勝ったアスクビクターモア、同2着で有馬記念でも2着に入ったボルドグフーシュ、同3着でこのレースで戴冠を果たすジャスティンパレスら、メンバーがそろっていた一戦でした。 そういった面々を相手に5着と健闘。前走のGI大阪杯(阪神・芝2000m)から距離が一気に6ハロンも延びたレースで見せた、そのパフォーマンスが大いに評価できます。 管理する昆貢調教師も、『3200mは昨年経験しているし、今年のメンバーなら出番はあると思う』と静かに闘志を燃やしています。 前走のGII日経賞(3月23日/中山・芝2500m)では、デビュー以来、初めて逃げの手を打って勝ち馬からコンマ2秒差の4着。ここ最近は結果を出せていませんでしたが、復調気配を見せています。 そうした状況にあって、昆調教師は『前走は物見をしたり、向正面でハミが抜けたりと競馬になっていなかった』と振り返りながらも、『あの競馬が今回に生きてくれば』と新味に期待を寄せていました。 続けて、『乗り方はノリさん(横山典弘騎手)に任せる』と昆調教師。鞍上を務める大ベテランの手綱さばきにも注目です」 下馬評では、昨年の菊花賞を圧勝したドゥレッツァ(牡4歳)と、前哨戦のGII阪神大賞典(3月17日/阪神・芝3000m)で大差の勝利を飾ったテーオーロイヤル(牡6歳)の「2強」の争いとされる一戦。だが、京都競馬場での波乱の歴史を振り返れば、「2強」の間隙を突く伏兵の台頭も十分に考えられる。それが、ここに挙げた2頭であってもおかしくない。
土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamitsu