子どもの性被害防ぐ「日本版DBS法」成立も…立ちふさがる3つの“ハードル”
小児性犯罪で有罪が確定する者はごく一部
赤坂代表理事はこれまでの活動の経緯とともに、「(日本版DBS法が)成立したことは大きな一歩ではあるが、まだまだ100点満点とは言えない。改善すべき点が多くあり、引き続き議論していく必要がある」と語った。 さらに改善すべき点として、具体的に以下3点を示し説明を行った。 ①照会の対象となる性犯罪歴の範囲 ②性犯罪歴を照会できる期間 ③認定制度 「照会の対象となる性犯罪の範囲」は現在、刑法・条例に違反する行為(子どもに対する性的行為、痴漢等)で有罪判決を受けた者(前科者)のみが対象となっているが、赤坂代表理事は「小児性犯罪で有罪が確定する者はごく一部で、不起訴処分(起訴猶予)、懲戒処分にしかならないケースが多く、前科だけでなく起訴猶予等も(照会の)対象とすることを検討していただきたい」と要望した。 「性犯罪歴を照会できる期間」については、「子どもへの性犯罪は再犯の可能性が非常に高い」(赤坂代表理事)とし、現在の最長20年を見直し、より長い期間の紹介を可能にするよう求めた。 「認定制度」とは、求められる措置(教員等の研修など)を取った塾や学童教育、ベビーシッターには日本版DBS法に準じている「認定」が与えられる制度のことだが、中小事業者の場合は、「認定」を取りたくても教員等への研修実施のハードルが高くて取れないことが考えられる。 その結果、「認定を取っていない施設に加害歴のある人が流れ込み、抜け道ができてしまう。(それを防ぐために)認定を取りやすいよう(中小事業者を)支援する仕組みをつくっていく必要がある」(同代表理事)。
「性加害者は現場では全く分からない」
30年以上にわたって学習塾経営にあたってきた高濱代表は、現場の“苦悩”も語った。 「性加害を起こすか起こさないかは現場では全く分からない。IQも高く、柔和な人格者だと思っていた人物が、そんなことをするのか、ということもあった。(小児性愛の)性癖のある人物が違う場所(施設)に移動していることも少なくない」 中野准教授は加害者の性的特性に触れ、「小児性犯罪は依存症のようなところがあり、子どもがいる環境にいれば再犯の可能性が高まる。ほかの仕事に就いてもらうことは大事だと思う」と語った。 末冨教授は、児童相談所と警察など、対応機関が細かく分かれていることに触れ、「イギリスは子どもに関わるリスクは一元化して防止していこうとしている。(日本も)あらゆる場面で子どもたちが守られるより大きな仕組みをつくっていく必要がある」と述べた。