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　コロナ禍による在宅勤務や生活スタイルの変化などにより、若い人たちの間でつみたてNISA口座を開設する動きが急増。2024年からは新NISAがスタートした。『新NISAはこの9本から選びなさい』（中野晴啓著、ダイヤモンド社）の内容から一部を抜粋・公開してきた本連載。その特別編として、なかのアセットマネジメント 代表取締役社長の中野晴啓さんに「投資に関する素朴な疑問や、新NISAを使って具体的にどうお金を増やしていったらいいのか」について、Q＆答えていただいた。新NISAを使って投資や資産形成を始めてみたいという人に向けて、そのポイントをわかりやすく紹介していく。（構成：鈴木雅光、撮影：石郷友仁） 【この記事の画像を見る】 　――新NISAの運用だけで老後の生活費は十分でしょうか。不十分だとしたら、他には何をすればいいでしょうか？ 　中野晴啓　問題は、何歳から資産を取り崩して生活するか、によるでしょう。あとは、自分自身がどのような生活レベルを希望するかによって、いくらあれば十分なのかについては変わってきます。 　たとえば、20年間で1800万円を新NISA口座で積み立てると仮定しましょう。この場合、毎月の積立金額は7万5000円です。それを年平均5％のリターンで運用し続けていった場合、20年後の積み立てた元本は、新NISAの非課税保有限度額の1800万円であり、運用益も含めた総額は3082万7525円になります。 　もし、70歳までしっかり働き、公的年金を受け取りながら、この3082万7525円を取り崩していくとすると、それなりに十分な生活資金が確保できるのではないでしょうか。 　さまざまなシミュレーションがありますが、たとえばみんかぶのシミュレーションを使うと、3000万円を30年間、年率5％で運用しながら取り崩した場合、毎月取り崩せる金額は16万円にもなります。公的年金の月額が15万円程度だとしたら、併せて31万円の生活費を確保できます。 　もちろん100歳超まで生きてしまったら、ちょっと困ったことになってしまいますが、そこは人それぞれの生活スタイルがありますから、自分の生活スタイルに合わせてシミュレーションしてみてください。 ●　FX（外国為替証拠金取引）や暗号資産のような リスクの高いものには、お金を投入しない 　もちろん贅沢な老後の生活を送りたいという方は、こんなものでは足りないでしょう。それならば、新NISAの口座に加えて、課税口座でも積み立てていく必要があります。 　課税口座であれば、何の制限もなく自分で思う存分、資産形成ができるので、贅沢な生活を送りたい分に使うお金は、課税口座でどんどん積立投資をしていくといいでしょう。 　ただし、注意していただきたいのは、少しでも大きく資産を増やしたいからといって、FX（外国為替証拠金取引）や暗号資産のような、投機的な対象資産にお金を投入しないことです。この手の商品に資金を投じると、最悪の場合、投じた資金の大半を失ってしまうケースもあります。FXや暗号資産は専らギャンブルであり、投機（ギャンブル）と投資は全くの別物であることを理解してください。 　資産形成に必要なのは投資であり、投機ではありません。投機は、大きく儲かることもあれば、大きく損をすることもあります。このように資産の増減が激しいもので運用すると、自分自身も相当のストレスになりますし、そのストレスが原因で長く資産形成を続けられなくなるおそれもあります。 　大事なことは時間を味方につけて、あわてず徐々に資産を増やしていくことなのです。 　【答え】 　それぞれの生活スタイルがあるので、老後の生活に必要な資金も変わります。贅沢な老後の生活を送りたい人は、新NISA口座に加えて、課税口座でも積立投資をするといいでしょう。 中野晴啓（なかの・はるひろ） なかのアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長 1987年明治大学商学部卒業。セゾングループの金融子会社にて債券ポートフォリオを中心に資金運用業務に従事した後、2006年セゾン投信株式会社を設立。2007年4月代表取締役社長、2020年6月代表取締役会長CEOに就任、2023年6月に退任。 2023年9月1日なかのアセットマネジメントを設立。 全国各地で講演やセミナーを行い、社会を元気にする活動とともに、積み立てによる資産形成を広く説き「つみたて王子」と呼ばれる。公益社団法人経済同友会幹事他、投資信託協会副会長、金融審議会市場ワーキング・グループ委員等を歴任。 著書に『最新版　つみたてNISAはこの9本から選びなさい』（ダイヤモンド社）他多数。 なかのアセットマネジメント:https://nakano-am.co.jp/